おばけずき 鏡花怪異小品集 (平凡社ライブラリー) の感想
参照データ
タイトル | おばけずき 鏡花怪異小品集 (平凡社ライブラリー) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 泉 鏡花 |
販売元 | 平凡社 |
JANコード | 9784582767643 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » あ行の著者 |
購入者の感想
鏡花の魅力は、流れるような文体と表現力、そして比喩の巧みさ、描かれる世界の深さと広がり……と、数え上げるとキリがないのですが、ともかく、なんといっても、編纂の東雅夫さんの手にかかると、今はめったに使わない漢字、熟語にわかりやすいルビが入って、それはむろん読みやすいだけでもお宝なのですが、それ以上に、時代の息吹を直に感じることができて、色や匂い、肌触りまで伝わってくるような一冊になることです。
収録された怪談掌編もむろん面白いのですが、当時の作家の生活が垣間見える随筆がまた面白いのです。
関東大震災の被災体験を描いた随筆は、現代人にとっても他人事とはいえず、思わず引きこまれます。
かといって、鏡花の視野は、その緊迫した情景をそのものを映し出すだけでないのです。人間には神の仕業としか思えない天変地異から始まり、はては鼬や鼠といった生き物の存在までを鮮やかに切り取り、さらに人間というものの内面の深い闇、だからこそ輝く一瞬の虹のような真心の色彩までも、さらりと垣間見せるその手際の鮮やかさ。
いやもう、鏡花先生の世界に耽溺したくなること請け合いです。
名作短編集の聞こえ高い『鏡花短編集』(川村二郎編)と重なっているのは、『おばけずき』収録作品中、「雛がたり」のみというのも嬉しい。
収録された怪談掌編もむろん面白いのですが、当時の作家の生活が垣間見える随筆がまた面白いのです。
関東大震災の被災体験を描いた随筆は、現代人にとっても他人事とはいえず、思わず引きこまれます。
かといって、鏡花の視野は、その緊迫した情景をそのものを映し出すだけでないのです。人間には神の仕業としか思えない天変地異から始まり、はては鼬や鼠といった生き物の存在までを鮮やかに切り取り、さらに人間というものの内面の深い闇、だからこそ輝く一瞬の虹のような真心の色彩までも、さらりと垣間見せるその手際の鮮やかさ。
いやもう、鏡花先生の世界に耽溺したくなること請け合いです。
名作短編集の聞こえ高い『鏡花短編集』(川村二郎編)と重なっているのは、『おばけずき』収録作品中、「雛がたり」のみというのも嬉しい。