入門編 現代文のトレーニング［改訂版］ の感想

入試現代文の入門書としては最高の出来。
長年、Ｚ会や代々木ゼミナールで東大・京大受験生を指導してきた著者・堀木師のエッセンスが凝縮されている。
問題文自体及び設問自体はそれほど難しくはないが、その凝縮された解説に圧倒される人もいるかもしれない。
この本だけでもセンター・中堅私大は十分だし、国公立大二次・上位私大も対応可能だろう（もちろん過去問演習は必須）。
旧帝大レベル文系や早稲田はさすがにこれだけでは足りないが（次の段階として「Ｚ会必修現代文」を薦めたいところだが既に絶版である。代替には河合の「入試精選問題集現代文」が最善だろう。なお「必修編現代文のトレーニング」は単体では凡書となるので薦めない（姉妹書「小説編現代文のトレーニング」と併用できるのなら良いのだが「小説編」も既に絶版である））。
あえて難をいえば、総合問題が徳島大の改作問題１題だけなので、次回改訂時にはもう１題増補してもらいたい（センター試験の評論問題が最善だろう。設問の改作も可だが、漢字問題は書き取りに改作すべきである）。
なお、初版で収録されていた「『知的生産の技術』梅棹忠夫」、「『時間という耕地について』辻邦生」、「『見えない博物館』池澤夏樹」の３題が、本書には収録されていない（著作権の問題か？）。