イザベラ・バードの日本紀行(下) (講談社学術文庫) の感想

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タイトルイザベラ・バードの日本紀行(下) (講談社学術文庫)
発売日2012-09-28
製作者イザベラ・バード
販売元講談社
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カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日記・書簡 » 日本文学

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馬の背中から前のめりにズリ落ちたり、木の枝に引っ掛けられて放り出されたり、何度も間抜けで痛い危ない目に遭いながらも、著者イザベラには自分自身を客観的に描写できる才能とユーモア感覚があったようだ。

上巻の東日本縦断旅行に次いで、下巻では蝦夷旅行と畿内旅行の様子が詳述される。原題”UNBEATEN TRACKS IN JAPAN”に付された副題の、とりわけ“INCLUDING VISITS TO THE ABORIGINES OF YEZO AND THE SHRINES OF NIKKO AND ISE”が活きて来る。

身体つきは猛々しいアイヌ人男性が、「しゃべりはじめるととたんにその顔はまるで女性のようにやさしい笑顔に変わり」「表情は誠実で感傷的で、微笑むと――たとえばわたしがアイヌ語の発音がうまくできないとき――、その顔には心の琴線に触れる本当に美しいやさしさが表れます。」と著者は証言する。

「北日本に比べ、こちら(伊勢)はたいへん贅沢な地方で、蚤や蚊は死んでいるか冬眠中で、不満は本当にほとんどありません。」「火鉢を抱いてすごしてばかりいます。」 イザベラが畿内を巡る頃には季節は晩秋11月に入っていたのだ。つくづく元気な英国人のオバサンである。

京都宇治を経由して「霧にかすんでいても美しい都」奈良を訪れた記述からは、当時(明治11年)既に「聖なる鹿」が人間に「せんべい」をねだっていたことが判る。一幅の墨絵を感じさせる長谷寺探訪や神道の聖域である伊勢神宮を参拝した記述からは、巡礼の荘厳さと感激の余韻が漂って来る。

「(旅行中)一度のゆすりや無礼な行為や難事にも遭わないばかりか、どこにおいても丁重で親切な扱いを受けたこと」を感謝を籠めて手紙に書き記したイザベラの、最後の訪問先が東京郊外の火葬場だった事実に<何でも見てやろう精神>の表れが感じ取れて、百三十年後の今でも興味が尽きない。

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