異常の構造 (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | 異常の構造 (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 木村 敏 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061157316 |
カテゴリ | ジャンル別 » 医学・薬学・看護学・歯科学 » 基礎医学 » 病理学 |
購入者の感想
木村敏は精神病理学者として異常と日常的に向き合っている。
この本は、「異常」ということについて根本から考えた深い思索である。
赤ん坊は「全」としての存在から徐々に「一」としての存在に移る。
私たちが「在る」と言っているものは、私たち自身の知覚行為の中から生じるものであり対象から由来するものではない。
しかし、人間はその奥に不可視の合理的とはいえない「こころ」とか「精神」をつくった。
また、科学そのものが人間の生への意志(無明)から生じたものである。自然から離れ、自然を支配しようとするものである。
合理的自然観である物理的存在というのは人間に都合のいい錯覚(仮象)である。
(離人症の人は、世界は実存性・現実性を失って単なるモザイクに変わってしまう)
この二重の虚構は人間に限りない不安をもたらす。
そして、「異常者」は「正常者」によって構成されている合理性・常識性の世界の存立を根本から危うくする。
このことが、世界から異常者を排除しなくてはならないという理由である。
(あらゆる差別の淵源ではないだろうか)
私たちが「なぜ、生きているか」という、答えのない通奏低音が深く響いてくる。
この本は、「異常」ということについて根本から考えた深い思索である。
赤ん坊は「全」としての存在から徐々に「一」としての存在に移る。
私たちが「在る」と言っているものは、私たち自身の知覚行為の中から生じるものであり対象から由来するものではない。
しかし、人間はその奥に不可視の合理的とはいえない「こころ」とか「精神」をつくった。
また、科学そのものが人間の生への意志(無明)から生じたものである。自然から離れ、自然を支配しようとするものである。
合理的自然観である物理的存在というのは人間に都合のいい錯覚(仮象)である。
(離人症の人は、世界は実存性・現実性を失って単なるモザイクに変わってしまう)
この二重の虚構は人間に限りない不安をもたらす。
そして、「異常者」は「正常者」によって構成されている合理性・常識性の世界の存立を根本から危うくする。
このことが、世界から異常者を排除しなくてはならないという理由である。
(あらゆる差別の淵源ではないだろうか)
私たちが「なぜ、生きているか」という、答えのない通奏低音が深く響いてくる。