漱石文明論集 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトル漱石文明論集 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者夏目 漱石
販売元岩波書店
JANコード9784003111109
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 作家研究

購入者の感想

正直かなり驚いた。小説家として名を馳せなくとも、評論家又は知識人として名を残すことができたのではないかと思われるほど、漱石の文明評はキレている。明治期以来日本の文化や歩みを「西洋一辺倒だ」、またはそれへの対抗として「武士道だ」と単純に意見を昇華させる前に、下地として目を通すべき本といえる。

有名な「外発的」「内発的」という視点から見た「現代日本の開化」。開化に驕り高ぶらず、かといって逆に排他的になるわけでもないそのバランス感覚は、ただの現実主義というよりも、漱石が思索を重ねに重ね続けて導きだした賜物に違いない。他に「中身と形式」「文芸と道徳」「模倣と独立」に見られる論などは、文明開化という言葉につきまとう「内」と「外」というどこかモヤモヤしたものにすっきり一本の筋を通してくれている。そして「文芸委員は何をするか」での、政府に対しての確固たる提言は、小説家漱石の小説たるものを知る大きな見せ場である。

それにしても小説家の書く評論というのは、坂口安吾もそうだが、例え話や論の展開と比喩が豊かであり、文章的に実に惹かれるものがある。この本は明治を代表する「学問のすすめ」と共にもっと注目されてもよいのではないかと考えたしだいである。

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