図解 特殊部隊 (F-Files No.047) の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

著者がどういう経歴の方なのかはわかりませんが、軍隊経験者や軍事研究家のようなプロの著書というよりは、既刊書の知識の要点を集めてわかりやすく図解した雑学本ですね。特殊部隊について未知で概要を知りたいという方には、ちょうどよいのではないでしょうか。もともとそういう趣旨のシリーズ本だと思いますが。

おおむね正しい内容なのでしょうが、やや根拠があっての記述なのか怪しい、素人が得た知識を自分の解釈で書いているのではないかと思えるものも散見されました。

たとえば「特殊部隊が追い求める情報は戦略的なものがほとんどである。云々」という記述がありましたが、決してそのようなことはなく、むしろ現場で交戦する可能性がある特殊部隊からすれば戦術的な情報のほうがより重要なはずです。デルタフォースは、突入する建物のドアがどのような種類の鍵なのかまで詳細な情報を求めるそうですし、SASも平時は世界中の都市の街の構成などを情報収集していると聞きます。もちろん政治的に重大な影響を与える戦略的な情報収集活動もしているでしょうが。「戦略」という言葉は軍事学上も定義に幅があり、よく使われるわりには使い分けが難しい言葉で、著者は戦術という意味で戦略と述べているように思われますが、やや誤解を与える内容かなと感じました。

また、海兵隊自体はたしかに特殊部隊ではないですが、アメリカ海兵隊などはブッシュ政権の時に、海兵隊上層部の反対にもかかわらず当時のラムズフェルド国防長官の肝いりで無理やり特殊部隊を創設させられており、特殊部隊でないとは言い切れません。

さらには、PMCの装備で迷彩柄は明確に禁止とありますが、海外のサイトを見ればイラク戦争時に迷彩のズボンを着用した民間軍事会社の契約要員の画像などがアップされています。

そのような記述がいくつかあり少し信頼性に欠ける印象を受けましたが、比較的安価ですし、特殊部隊について参考になる知識をうまくまとめてあるので一般向けには良い本だと思います。この分野に詳しい方には、真新しい内容はないと思います。

資料用として購入致しましたが、広く浅い入門用といった
印象を受けました。

特殊部隊の定義、その任務、装備等、様々な観点から解説
していますが、実在の部隊に関する詳細な情報はあまり書
かれてません。
一般的に、「警察系特殊部隊」と「軍事系特殊部隊」が存
在し、それぞれ任務が異なる……程度の区分けであり、架
空・実在の特殊部隊を詳細に解説するものではなく、一般
論として、「特殊部隊」とはこのようなもの、ということ
を解説した本です。

さほど軍事方面にも詳しくなく、いわゆるミリタリーマニ
アでもない私にはそれなりに役立ちましたが、ディープな
知識を求めている方には、少々物足りなく感じると思いま
す。