Point of No.. -Deluxe- の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

　「歌力」っていうのは，こういう人のことを言うんでしょうね。伸びやかで凛とした歌声が魅力のキーシャ・コール。2年ぶり6枚目のアルバムです。
　深く内に秘めた思いを切々と歌い上げる「Heat of Passion」，物憂げなメロディーの上をコーラスが波のように寄せては返す「N.L.U.」，しっとりとした歌声に無機質にループするシンセ音さえも切なく聞こえる「Next Time (Won’t Give My Heart Away)」など，前半は情感たっぷりのナンバーが続きます。
　中盤ではパーカッションやハンドクラップを起用した軽快なビートにメロウで爽やかなサウンドの「Do That For (B.A.B.)」があったりして，ちょっと弾けます。
　ただ，どうなんでしょう。3rdアルバム『A Different Me』あたりと比べると，どの楽曲も物足りなさを感じます。
そこがちょっと残念なんですが，終盤に来てようやく「これだ！」という曲が。灰色の冬空を思わせるような物悲しいメロディーと，悲壮感さえ漂う歌声が胸を打つ「Beliver」に，熱くうねるシンセをバックにエモーショナルな歌声が過熱していく「On Demand」がそれです。特に「On Demand」では，August Alsina（デフ・ジャム期待の新鋭。2014年4月に『Testimony』でデビュー）との男女デュエットで，Augustがラップ＆ヴォーカルで盛り上げています。
それにしても，キーシャの歌は凄いよね，と改めて感動。これで楽曲面でも，もうひと押しあれば，言うことなしのアルバムなんですが・・・・。