寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門 の感想

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参照データ

タイトル寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門
発売日販売日未定
製作者アントワーヌ・コンパニョン
販売元白水社
JANコード9784560025819
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » フランス

購入者の感想

この本は、著者が『エセー』について、ラジオで1回5分ずつ話した放送をもとにして編んだものとのこと。タイトルは日本語版独自のものだけど、この事情を踏まえて、なかなか上手に付けたものだと思う。
1回分が1つの章になっていて、それが全部で40章ある。5分の放送だから、各章はとても短い。ちょうど映画の予告篇のような感じ。予告篇を見ると、どんな映画もたいていは面白そうに思える。本書も『エセー』に対する期待を、煽ってくれる。それは間違いない。でも実際に映画本篇を見てみると、裏切られた気分になることが多いのもまた事実。『エセー』本篇がどうかは、未読だからわからない。
もう1つ、映画の予告篇に似ていると思うのは、映画のDVDを買うと同じ配給会社の予告篇がたくさん付録で収められていることがあるけれど、こればっかりを見続けるのは厳しいということ。本書も同じ。だから、タイトルどおり1日5分、1章だけ寝る前に読んで、あとは本も瞼も閉じるのが正しいんだと思う。それでも目が冴えて眠れなければ、本書の次章に読み進むのではなく、『エセー』本篇を開くべきなのだろう。そうやって本書と『エセー』を往復しながら読み進めば良かったと、最後まで読んでしまってから気がついた。
『エセー』を入手したらそうやって読んでみよう。でもひとたび本篇を開いたら、こちらには戻ってこないかも。まあそれでも、この本にとっては本望だろう。

「エセー」を読みかけて挫折したことがあるが、ページ数ばかり多くてちっとも面白くないという印象しか残ってない。一見風変わりな気のきいた文章が随所に見られるものの、所詮は個人的な趣味趣向か平凡な常識論に過ぎない。こんなものがなぜパスカルから西田幾多郎に至るまで第一級の知性を魅了し続けたのか・・・こうした疑問をお持ちの読者も多いはず。そんなあなたにこそ本書を奨めたい。「エセー」は決してつまらぬ本ではない。いやむしろ噛めば噛むほど味わいを増す渋い本である。本書を読み進めば、自己韜晦と見紛うスタイルからも意外に人間モンテーニュが透けて見える。およそ改革というものを全否定してみせるところなどは、単なる書斎の人でなかったモンテーニュの面目躍如たるものがある。最も美しいのは、本書でも最後に取り上げている最終章の「経験について」だ。 ここでのいかにも日本人好みの達観を読めば、徒然草や方丈記と比較されるのもうなづける。こうした尽きせぬ魅力にもかかわらず、一見どうでもよいおしゃべりがいささか多いせいか、評者のような怠惰な読者は読了する気力がなかなかわいてこない。それではいかにももったいない。本書は一度挫折した読者にはもう一度「エセー」に向かう勇気を与えてくれるだろうし、原著のボリュームにたじろいでいる読者には「寝る前5分」で手っ取り早くその勘所を伝授してくれる。そんな得難い入門書だ。

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