まんが家総進撃 2 (ビームコミックス) の感想

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参照データ

タイトルまんが家総進撃 2 (ビームコミックス)
発売日販売日未定
製作者唐沢 なをき
販売元KADOKAWA/エンターブレイン
JANコード9784047300453
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

 芸術と言うにはもう少し身近な「漫画」現場の、「生みの苦しみ」と言うには余りにもヒドい様子をユーモアとギリギリのバランス感覚を失わずに見事にギャグ漫画化。
 才人唐沢なをき、よしこ夫妻のライフ・ワークと言って良い貫禄すら漂う傑作シリーズです。
 素人から観れば修羅場に見える生活が日常となった人々の奇行や壊れて行く様が、漫画家自身によって描かれる事でメタフィクショナルなスリルと瘴気が発生して秀逸。

 (少し内容に触れています。)

 【収録作】
第12話「ゆりかごを揺らすペン」:よしこ氏が前巻のコラムでもふれていた、在宅勤務と見なされる漫画家の保育園探しの難しさをさっそくネタにした、したたかな作品。
夢脳"クラッシャー“ララァちゃん、メシスタントならぬベビシッタント(?)で登場。
第13話「毒舌くん」:大学漫研の漫画の才能以上に他者の作品をけなす才能に恵まれた男の物語。
第14話「呉智英にほめられた」:日本では10人も居ないと言われている「飯を食える漫画評論家」にひょんな事から誉められた無名漫画家の転落。
もちろんフィクション。
第15話「ワーカホリックくん」:業界には必ず存在する、睡眠時間の短さや休日が無い事を自慢する輩を。
第16話「老後後後後」:題名を読んで居るだけで地鳴りが聴こえて来そうな、こちらもセミ・レギュラーとなった、老同人漫画家二人の齢70にして大きく分かれてしまったまんが道。
第17話「お金を払ってくれない人たち」:身につまされる、漫画に関する様々な未払い金について。
第18話「落ちるかも」:連載に返り咲きを狙う漫画家を襲う連休進行。友人からのお誘い、遅々と進まぬ原稿に募る編集者からのプレッシャー。タイムリミットまであと1日。机には真っ白な原稿用紙が…。
どんでん返し×2の元も子も無いお話。
第19話「落ちる」:初めて連載を落した新人漫画家の下に現れた妖精は?
第20話「やめたやめた」:持ち込みもあまり順調ではない漫画家志望者。親や恋人、バイト先の店長達からの様々なプレッシャーや誘惑に揺らぎ始める。

タイトル変更後の2巻でありますが、雑誌上では本巻収録話からがこのタイトルでの掲載でした。もっとも内容は何も変わらないので安心。
前巻コラムにもあった育児問題を題材にしつつそこは準レギュラー夢脳ララァが登場し滅茶苦茶になる「ゆりかごを揺らすペン」、身につまされる毒舌男の悲劇を倒置的表現で描く「毒舌くん」、タイトルだけで笑える「呉智英にほめられた」、全く外さない老害オタクギミノリくんシリーズ「老後後後後」(ギミノリくんが薀蓄を語っても女の子が「ヘー」とそっけないところとか、最高)など相変わらずブラックに振り切れた傑作群で大いに笑える。
一方、そう言えばこの漫画が連載されてる雑誌って見たことないよなあというあるある話をホラーテイストに描く「消失」や創作意欲のバイオリズムが上がったり下がったりする漫画家志望が主役の「やめたやめた」、何をやっても精神的に満たされない漫画家を描いた「漫画家が楽になるとき」などのそんなのアリ?なオチとかは単純なギャグというよりは「カスミ伝」からの流れを汲む実験漫画のようであり、表現の更なる多様性に今後も楽しみになる一冊なのであった。

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KADOKAWA/エンターブレインから発売された唐沢 なをきのまんが家総進撃 2 (ビームコミックス)(JAN:9784047300453)の感想と評価
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