孫の力―誰もしたことのない観察の記録 (中公新書) の感想

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参照データ

タイトル孫の力―誰もしたことのない観察の記録 (中公新書)
発売日販売日未定
製作者島 泰三
販売元中央公論新社
JANコード9784121020390
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » サル・人類学

購入者の感想

 東大全共闘を経て日本野生生物センターを設立、野生のサルを観察する生活を続けた著者による、お孫さんの「心が花のように開く奇跡としか言いようのない事件がつづけざまに起こる時代」を記録した本。サルとの的確な比較は、人間というのは、やっぱりサルから進化したものなんだな、と思うと同時に、祖父母と孫の親密な関係は人間独自のものである、ということも感じさせられます。

 サルとの関係で「すごいな」と思ったのは、例えば「霊長類における破壊衝動の根は深い」(p.28)といったあたり。そしてイヌは命令−服従型だが、サルは命令−欺瞞型でり、禁止によって人間の赤ん坊は育つことなく、禁止されると裏をかく方法を探す。だから「サルも人も命令では動かない。ただ賞賛によって動く」(p.30)と。赤ん坊が「あー」と言うと、母親も「あー」と無意識で答えるのは、ニホンザルの「鳴き交わし」と呼ばれている声のやりとりとそっくりとか(p.23)。名著『親指はなぜ太いのか』で初期人類は「ボーン・ハンティング(骨猟)」をしていたのではないか、という仮説を提唱している島博士ですが、ご自分の孫にもイワシの骨をカリカリに焼いて食べさせているのには思わず笑ってしまいました。

 赤ん坊があくびをするのは《脳がどんどん大きくなっているので、酸素をたくさん吸い込まなくてはならない》からとか(p.16)、《哺乳類にとっては、遊びは生きていることと同じ》(p.47)、複雑な遊びや役に立つことをしたいという気持は自分を越える行動をしたいということで《なんと!人は日々、自分を越えようとする動物なのだ》(p.86)とか、恐怖心の始まるのは一歳七ヶ月ころの「人見知り」だから、その後、意識ができ、言葉を持つようになると《恐怖感情が結びつく》(p.109)なんてあたりも凄い。超お勧め!

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