旧約聖書 創世記 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトル旧約聖書 創世記 (岩波文庫)
発売日販売日未定
販売元岩波書店
JANコード9784003380116
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » キリスト教・ユダヤ教 » キリスト教一般

購入者の感想

 何年か前、宗教的というより文学的興味で聖書を読み通したことがある。一度や二度読み通したところでわかることは多寡が知れているだろうが、過去を振り返るとキリスト教とのかかわりが少しはあったものだから、読まないよりはいいだろうと思って読み通した。そのとき心に残ったのは、キリスト教で言うところの旧約聖書の部分だった。約束の実現、律法の成立から王国と神殿の建設、神への離反が引き起こす王国の滅亡、神殿の破壊、バビロン捕囚、その運命を嘆く言葉と神への立ち返りと、全体に暗い雰囲気ながら、神を希求し神を畏れながらも時に神を忘れてしまう人々の生きているさまがとても克明に描かれていて、物語としてとても緊迫していたのがうっすら記憶に残っていた。最近岩波書店の講座・東洋思想の第一巻「ユダヤ思想1」を読んでいて、この著書の訳者である関根正雄さんの論文があったので久しぶりに読み返してみようかと、岩波文庫版の本書を手にとってみた。

 この文庫が他と違うところは本文のほかに詳しい注釈が付せられているところで、解説も同様に詳しい。ありがたいのはよく言われる複数の執筆者の担当箇所を具体的に節ごとに教えてくれることで、それに従って蛍光ペンで色分けするとどこがヤハウェ資料なのか、どこがエロヒム資料なのか、どこが祭司資料なのか、そのほかの資料なのかが一目瞭然になる。他にも、平凡な表現に見える言葉に思いもかけない深い意味があることも伝えてくれるのがいい。共同訳を読むだけでは気づかないことを色々と気づける。

 内容については読めばそれぞれの人に感じることがあると思うが、後の書に比べて民間伝承のような面白みのあるエピソードが多いので、細かいことを考えずに読むのも愉しい一冊になっている。

 

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