日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか の感想

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タイトル日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか
発売日販売日未定
製作者小室 直樹
販売元徳間書店
JANコード9784198611682
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » 宗教入門

購入者の感想

小室直樹氏は、京都大学理学部数学科卒、 阪大経済学黄金時代の大学院経済学研究科、さらに東京大学大学院法学政治学研究科を修了し、マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学で、 世界の名だたる人たちから様々な学問を学んだ苦学生であるけれど、宗教の専門家ではない(と思う)。

にも関わらず、この本を買ったのは、 氏の別の著作で、
「キリスト教は『神前法後』だが、仏教では『法前仏後』の世界である」
といったことが書かれていたことを大変興味深く思い、氏の仏教の見解を聞いてみたい、と思ったから。

仏教は、完全因果律の世界で、法(ダルマ)がまず初めにあり、それを知ることにより、 苦しみの原因を除去しようとする、 非常に合理的なもの。
日本人の仏教理解の世界には、「おそろしく分かりやすいヒンドゥー教(バラモン教)」の教理がずいぶん入ってしまっており、輪廻転生に、地獄、極楽などがあるが、位が高い仏典には、そのようなことは書かれていない。そもそも、仏教では、「魂」の実在が否定されている。
万物流転、すべてのものは移り変わる。
分子生物学で、自分では同じ自分が継続しているように感じていても、実は半年もすれば、人体のすべての細胞が新しく入れ変わっているように、すべてのものは一刹那(約0.013秒)後には、違うものに変わっている。

仏教では、バラモン教から輪廻転生の考えは受け継いでいるが、アートマンは受け継いでいない。すべての実在、実在論を否定している。では、何が輪廻転生するのか。

ここで、阿頼耶識(あらやしき)なる、耳慣れない言葉が登場する。
阿頼耶識は、生命の中枢であり、「我」よりもさらにその根底にある生命そのものに執着する。
すべての現行(げんぎょう)は、阿頼耶識に薫習(くんじゅう)され、種子(しゅうじ)として痕跡が残る。

遺伝子情報もまた種子の一種として捉えられる。
阿頼耶識の初めの種子は、永遠の過去に入っている。その種子の入り方、出方こそが輪廻転生する。
人間の意志、これも一種の譬えであって、意志以前の誰も自覚しない原意識のようなものが、転生する、という。

驚くほど意外な視点の連発。宗教について少しは知っているつもりでいましたが、それは一般教養や学者の知識のような意味での「知っている」であったのだと、この本を読んで痛感いたしました。えっ、キリスト教ってそういう教えだったんだ、とか、儒教もこのような観点からみてみるとよく理解できるなあ、というような解説が盛りだくさんであります。小室さんの弟子の橋爪大三郎さんの宗教入門書も読んだのですが、あちらはもっと学者的な良心と常識にとらわれている部分があり、この師匠の融通無碍でアクロバットな宗教解読ほどの興奮はありませんでした。やはり、伊達に年はとってませんな、と率直に恐れ入ってしまったという次第。宗教を深く知ろう、視界がきっと開けます。

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