福島原発事故はなぜ起こったか 政府事故調核心解説 の感想
参照データ
タイトル | 福島原発事故はなぜ起こったか 政府事故調核心解説 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 畑村 洋太郎 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062182973 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 核・原発問題 |
購入者の感想
いわゆる政府事故調の中心メンバーが事故調の報告書のエッセンスにその後知見を加え約200ページにわかりやすくまとめたもの。
畑村氏を含め執筆者はいずれも原子力の専門家ではないが、安全工学的な見地から問題を分析している。そのためむしろ一般人にわかりやすくなっている。
全体のトーンは極めて冷静で技術的な側面をしっかり押さえながら、安全神話に胡坐をかいていた東電を中心とした関係者への厳しい目は忘れていない。
いずれにしても事故後約2年を経ての出版であるため、事故につながる諸ファクターが手際良く分析されており、また今後の対策についても吟味されているが、特に調査を終えた際の畑村委員長の7つの所感(1.あり得ることは起こる。あり得ないと思うことも起こる。2.見たくないものは見えない。見たいものが見える。 3.・・・)には改めて考えさせられた。
また除染について“放射性物質を消すことはできない”とし、汚染物質の離れた場所への移動・保管がほぼ不可能であるから、“除染についての正しい考え方は放射性物質の人体や生活への影響を最小にするにはどうするかを考えることであり、その唯一の方法は<その場処理>である”とする。悲しいが現実的にはそうなのかもしれない。
避難を余儀なくされている16万人の人たちの生活あるいは二度と同じような失敗を起こさないためにも、事故原因の究明とその対応策については今後とも国民的なレベルで一層の議論を深めていく必要があろう。
大型書店でも置いてある福島原発関係の書籍の数は急激に減りつつあるようだが、我々日本人として決して健忘症になっていはいけない話だ。本書はそのための最良のガイダンスと思う。
畑村氏を含め執筆者はいずれも原子力の専門家ではないが、安全工学的な見地から問題を分析している。そのためむしろ一般人にわかりやすくなっている。
全体のトーンは極めて冷静で技術的な側面をしっかり押さえながら、安全神話に胡坐をかいていた東電を中心とした関係者への厳しい目は忘れていない。
いずれにしても事故後約2年を経ての出版であるため、事故につながる諸ファクターが手際良く分析されており、また今後の対策についても吟味されているが、特に調査を終えた際の畑村委員長の7つの所感(1.あり得ることは起こる。あり得ないと思うことも起こる。2.見たくないものは見えない。見たいものが見える。 3.・・・)には改めて考えさせられた。
また除染について“放射性物質を消すことはできない”とし、汚染物質の離れた場所への移動・保管がほぼ不可能であるから、“除染についての正しい考え方は放射性物質の人体や生活への影響を最小にするにはどうするかを考えることであり、その唯一の方法は<その場処理>である”とする。悲しいが現実的にはそうなのかもしれない。
避難を余儀なくされている16万人の人たちの生活あるいは二度と同じような失敗を起こさないためにも、事故原因の究明とその対応策については今後とも国民的なレベルで一層の議論を深めていく必要があろう。
大型書店でも置いてある福島原発関係の書籍の数は急激に減りつつあるようだが、我々日本人として決して健忘症になっていはいけない話だ。本書はそのための最良のガイダンスと思う。