頭痛肩こり樋口一葉 の感想
参照データ
タイトル | 頭痛肩こり樋口一葉 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 井上 ひさし |
販売元 | 集英社 |
JANコード | 9784087724776 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 戯曲・シナリオ » 日本 |
購入者の感想
時代は明治23年(1890年)から明治31年(1898年)。それぞれの年の盆(一回例外)。場所は5箇所(芝西応寺町60番地樋口虎之助の家、本郷区菊坂町70番地樋口夏子の借家、同69番地樋口夏子の借家、下谷区竜泉寺町368番地樋口夏子の借家、本郷区丸山福山町4番地樋口夏子の借家)。
お盆が一年ごとに来るたびに、近しい人が亡くなり、その橋渡し、あの世と現世の仲介役を「花蛍」が演じる。「花蛍」は吉原のお抱え女郎の源氏名、身請けしてもらい損ね、心中。「現世」に怨念にもち「悪」の根源を捜しもとめ、あの世への道連れを物色し、樋口家に毎年必ず盆礼に来る。主人公は夏子(樋口一葉)、樋口家の柱として、家計のやりくりに苦慮、「物書き」として頭角をあらわすが、貧乏から抜け出せない。
健康でなく、頭痛、肩こりが日常茶飯事。最後は身体をこわし、亡くなる。世間体ばかり気にする母親の多喜、甲斐甲斐しい妹の邦子、旗本稲葉家の娘であるが(かつて多喜が乳母だった)、夫の「武士の商法」がうまくいかず、樋口家に無心にくる鉱。樋口家で世話をしていたものの転落の人生をしょいこんだ八重。そして花蛍。場面展開、人物配置が見事。
著者は一葉が生きた明治の時代、江戸の情緒がいまだ残っていた東京の下町を背景に、一葉の小説の一部を織り込み、女流作家の暮らしと感覚が滲み出てくる脚本である。
お盆が一年ごとに来るたびに、近しい人が亡くなり、その橋渡し、あの世と現世の仲介役を「花蛍」が演じる。「花蛍」は吉原のお抱え女郎の源氏名、身請けしてもらい損ね、心中。「現世」に怨念にもち「悪」の根源を捜しもとめ、あの世への道連れを物色し、樋口家に毎年必ず盆礼に来る。主人公は夏子(樋口一葉)、樋口家の柱として、家計のやりくりに苦慮、「物書き」として頭角をあらわすが、貧乏から抜け出せない。
健康でなく、頭痛、肩こりが日常茶飯事。最後は身体をこわし、亡くなる。世間体ばかり気にする母親の多喜、甲斐甲斐しい妹の邦子、旗本稲葉家の娘であるが(かつて多喜が乳母だった)、夫の「武士の商法」がうまくいかず、樋口家に無心にくる鉱。樋口家で世話をしていたものの転落の人生をしょいこんだ八重。そして花蛍。場面展開、人物配置が見事。
著者は一葉が生きた明治の時代、江戸の情緒がいまだ残っていた東京の下町を背景に、一葉の小説の一部を織り込み、女流作家の暮らしと感覚が滲み出てくる脚本である。