数値解析 (技術者のための高等数学) の感想

　技術者のための高等数学シリーズ（５）の第８版で、内容は数値解析である。本シリーズの邦訳は従来、第２版、第５版と刊行されてきたが、数値解析は、第５版からである。1987年当時、専門共通科目として、コンピューターを利用した数値解析が重要となりつつあったという情勢を反映してか、本シリーズで１冊独立した巻として登場したものである。私は第５版の刊行される直前の学年であったため、辛くも第２版が教科書として採用された。このため、邦訳の巻割が第５版とは異なっていて、数値解析の内容は常微分方程式の巻などに含まれていて内容も大幅に少なかった。そこで、他のシリーズの参考書などを使用していたが、本シリーズにあるのであれば、慣れた教科書を使用するほうが学びやすい場合もあると考えられる。第８版では、巻割は第５版をほぼ踏襲しているが、黒と青の二色刷りになり見やすくなっている。連立一次方程式、常微分方程式、偏微分方程式などの数値解法など、学部程度で学んでおいたほうが良い内容が網羅されている。演習問題は工学分野への応用を念頭においたものが多いのでイメージが湧きやすい。強いて難を言えば、演習問題の解答が奇数番しか掲載されていないことだが、典型的な問題が多いので、どうしてもわからなければ他の参考書を参照することで対処できる。