内臓感覚―脳と腸の不思議な関係 (NHKブックス) の感想

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参照データ

タイトル内臓感覚―脳と腸の不思議な関係 (NHKブックス)
発売日販売日未定
製作者福土 審
販売元日本放送出版協会
JANコード9784140910931
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 医学

購入者の感想

24年間、過敏性腸症候群:IBS(irritable bowel syndrome)を、第一線で研究してきた著者が、わかりやすく書いた解説書です。

3ヶ月以上持続する腹痛と便通異常(下痢か便秘)が、この病の特徴。同じ症状がある大腸癌や炎症性腸疾患など器質性疾患から、機能性消化管疾患であるIBSを区別する診断のガイドラインが丁寧に書かれています。さらに機能性消化管疾患のなかから、特にIBSと診断するための国際的な診断基準「ローマ3」が明記されています。著者もこの国際基準の作成者の一人だそうです。この病気を疑っている人には、信頼できる心強い解説書です。

IBSは、QOLを下げる腸の不快な症状だけでなく、パニック障害やウツなどの心の病も、時に平行しておこるそうです。この点から、消化作用だけと思われてきた腸機能を再考し、腸と脳との関係を実験的に確かめながら、この特殊な病の解明は進んだそうです。
 腔腸動物には、最初に作られた器官である腸だけがあります。一方脳は、動物の器官のなかでも、後で作られたものです。腸は迷走神経によって囲まれており、それとさらに交換神経を通って、脳に直接に内臓感覚の信号が送られます。これは無意識下でも常に脳に信号として送られています。逆に脳が受けたストレスなどの信号は、直に腸に送られます。この信号の相互送信から、「感情」とか、体の変化も伴う「情動」が起こるようです。これらは、IBS研究から、わかりはじめてきたことです。

従来わかりにくかった特殊な内感なども、内臓感覚から考えると説明できそうです。脳だけを人の首座・最高位と見なしてきた人間観も修正が必要となりそうです。意識の発生とか、その活動の主導権なども、脳部分だけで考えずに、他の内臓器をも入れて考えた方がいいのか。もしそうなら内臓感覚を、人の中で新たにどう位置づけるのか、今後の進展が楽しみです。

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