ワイルド・スワン(中) (講談社文庫) の感想

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タイトルワイルド・スワン(中) (講談社文庫)
発売日販売日未定
製作者ユン チアン
販売元講談社
JANコード9784062638135
カテゴリ文学・評論 » 評論・文学研究 » 外国文学研究 » 英米文学

購入者の感想

1956年の春に出された「百花斉放」政策は「引蛇出洞」が目的だった。「右派分子」は知識人全体の1〜10%にあたりこれらを粉砕しなければならないという。5%の「割り当て」が課され母は百人の右派を告発しなければならなかった。「抽簽右派」「厠所右派」「有毒不放」「自認右派」などという死語を我々は忘れてはならない。

1964年の毛沢東による「雷鋒同志に学ぼう」という呼びかけは、「毛沢東崇拝」に向けての巧妙な手口であった。
「毛沢東崇拝の裏には、つねに恐怖という感情がついてまわった。人々はものを考えると言う行為を一切放棄してしまった。・・・子供たちの心には、忠誠の対象はただひとり毛主席のみ、という思想がしっかりとたたきこまれた。」

著者は、「中国人はもとより信仰よりも現世に対する執着の方が強いから、目をみはるような経済発展がなければ、毛沢東崇拝があれほど宗教的熱狂をおびることはなかったと思う。」と書いている。

「中国のフルシチョフ」劉少奇と、仲間のトウ小平と、彼らに同調する党内勢力をたたきつぶすために、「文化大革命」がはじまったのが1965年冬である。
「人民を思いどおりに動かすためには、党から権威を奪い、毛沢東ただ一人に対する絶対的な忠誠と服従を確立しなければならない。」そのために、「熱狂的な毛沢東崇拝と階級闘争の思想をたたきこまれて育った」十代から二十代はじめの若者が格好の道具となった。
「文化大革命」が、1年もしないうちに何百万という紅衛兵を出現させた事実は、教育の恐ろしさを裏付けるものだ。

清廉潔白の共産党員である父が、文化大革命を批判し、毛主席に反対すると公の場で宣言する。「私が知るすべての範囲で、父のような人間はほかにひとりもいなかった」と著者は述懐する。

中巻は、歴史上公にされている事実と、著者の身の回りで起こったおぞましい出来事と、それに、著者の目を通した父と母の勇ましい姿が力強く描かれる。

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