her/世界でひとつの彼女 ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産/2枚組) [Blu-ray] の感想

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参照データ

タイトルher/世界でひとつの彼女 ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産/2枚組) [Blu-ray]
発売日2014-12-03
監督スパイク・ジョーンズ
出演ホアキン・フェニックス
販売元ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
JANコード4548967129793
カテゴリDVD » ジャンル別 » 外国映画 » ドラマ

購入者の感想

スパイク・ジョーンズ監督    アスミック・エース

ホアキン・フェニックスとルーニー・マーラが出演しているので観てきました。

少し先の、スマートフォンではなく、直接イヤホンからの声や人間の言葉を理解するOS(オペレーション・システム)が普及し始めているくらいの未来。離婚をし、代筆業で生計をたてるセオドア(ホアキン・フェニックス)は心が動かされることの少ない生活を送っています。そんな中、新しく使用者本人に合わせた、しかも人工知能を持ったOSが発売され、ふとしたきっかけでセオドアもそのOSを手に入れるのですが・・・というのが冒頭です。

OSというコンピューターのソフトウェアが人工知能を持つ、という割合よくある設定の近未来SFなんですが、そこに恋愛という要素を持ち込み、かなり狭い範囲の中の出来事を描く物語です。

で、最初はもちろん恋愛という状況や心の動きを扱っているように見えるんですが、相手がコンピューターからなので当然ですが、実体が無い事で、どんどん抽象的な、というよりも関係性の築き方、コミュニケーションとは何か、といった非常に深く、しかも自分の中の認識を確かめさせ、揺さぶり、その認識に影の部分は本当に無いのか?と迫ってくるような作品になっています。恋愛映画のようですが、認識や関係性を問いかけるなんだか哲学的な映画だと思います。

主役を演じるホアキン・フェニックスの演技がとても素晴らしく、本当にこういう人がいそうな感じです。とても落ち込んでいる際の、薄いベールに自分だけが包まれた別世界にいるかのような存在感を出すのが上手いですし、だからこそ、喜びに満ち溢れている際の弾けた感じが、また普通と少し違って世間の目を気にしない感で表されていて良かったです。どことなく、今まで見たホアキン・フェニックスの演技というか演じるキャラクターは不穏で実のところどう考えているのかワカラナイようなタイプが多かったと思うのですが、かなり毛色の違ったタイプの人物だと思うのですが、そのナイーブさも感じられて良かったです。

大雑把に言うと、離婚争議中の冴えない中年男が、AIと恋に落ちるストーリーですが、よく練られた絵がいいですね。現代風なんだけど、少し何かが違う街と人々。アメリカ風なんだけど、カナダ風だったりイギリス風だったりと、観る者を惹きこむカットが続きます。私は事前情報を知らずに観て、「おや?このAIの声の人上手だね~」と思って観ていたのですが、観終わってからスカーレット・ヨハンソンだと知って良い驚きでした。スタイルが良くて、アクションも行ける美人女優ってイメージしかなかったのですが、しっかりと高い演技力を持っていますね。現代的なラブストーリーであり、時代への警鐘もあり、観終えるとほっこり人恋しくなる映画です。それにしても、トランセンデンス、ルーシー、herとAI系の映画が多いですね!

とても清々しい気持ちになれる映画です。

「AIに恋をする?目を覚ませ主人公!」といった単純な思考回路には決してならず、
「もし本当にAIと人間が恋をしたらどんな愛のカタチがあるのだろう?」という意味を掘り下げていくような、見かけによらずハードSF的な探究心があるのがすごくいい。

世界観自体は近未来でしょうか?PCなどのコンテンツや職業などに新しさを感じましたが、街の雰囲気は現代と大差なく、リアルに感じられた。高層ビルを足したりと細かいところでCGを駆使しており、どのカットで切っても絵になる。美しいです。

また、元々ミュージックビデオなどをプロデュースしていたスパイク・ジョーンズ監督らしく音楽の使い方が絶妙。声の演技と巧みな音楽演出により作品全体を引き締め、派手な演出はないが高級感のある映画に仕上がった。
ラストは切ない結末を迎えるが、朝焼けの街を眺めながら腐れ縁の元カノが主人公に肩を寄せてエンドクレジットという、体の内側がポッと温まるような終わり方。

特に印象的だったのが主人公がサマンサに「僕はこれまでにありとあらゆる感情を味わいきってしまっていて、この先もう新鮮な感情なんて湧き上がることはないんじゃないか?」という空虚な問いかけをするシーン。個人的に少し共感しましたが、これは彼女と別れたばかりでいじけているスパイク・ジョーンズ監督の言葉ともとれるなー(笑)と思いました。
そんな主人公に対し「そんなことないわ」「うじうじしないで!」とサマンサがクールにきり返すシーンは良かった。ラストの主人公の成長へとつながる重要な会話だったと思う。

サマンサに熱を上げていたら、とある隠し事を暴露され一気にクールダウン。まるで人間の女性に抱いていたような幻想を彼女に押し付けていた自分にいつの間にか気づかされ、2人が見つけた愛のカタチが何だったのかを再確認します。
そして訪れる別れ。(この別れの原因にSF設定をふんだんに使っているので、場合によっては置いてけぼりにされます。)
サマンサの結論には主人公と同様に強烈な嫉妬に襲われるが、彼女のことを尊重し、送り出した主人公に物凄く勇気をもらった。

ネタバレ感想です。

肉体のないOSと人間は恋が出来るのか?というテーマのようですが、
恋を通して主人公が成長する話です。

主人公の当初の恋愛感とは自分の穴を埋めるための独りよがりなものでした。
作中では「公に認められた狂気」と言っています。
彼の恋愛観を反映したOSも当初は同様です。

しかし進化したOSが複数の人と同時恋愛しているのを知って彼は困惑する。
そんな愛は理解できない!と。

やがて彼の元に届く自分の書いた愛の手紙の編集本。
OSは彼の違う愛の側面も学習していたわけでした。
食い違っていくように見えて実はお互いは鏡のようなもの
彼は自分の偏狭さに気付き、初めて元妻に謝罪の手紙を書く。
OSは形而上的なものになってしまうが、それこそ愛の最終形態。
彼は朝焼けの中にも愛を感じて
これまで味わったことのない安堵な心を手に入れたのでした。

個人的にちょっと苦手な俳優の一人だったホアキン・フェニックスでしたけど、本作の彼は実に好意を寄せれる人物像を演じています。

いつも一箇所、暖色系(←淡い赤やピンク)の衣類を纏い、失恋から立ち直れず孤独な生活を続けるものの、その明るい色使いを残す事で主人公の「終わっていない」感を象徴して見せ、本筋の人工知能との関わりで更に一皮剥ける成長経過を無理なく定着させていたと思います。

また、ゲームの主人公との漫才的やりとりも笑わせ、仕事上での「人情派」な設定も物を言い、以前からホアキンにはどこか尖って近寄りがたい雰囲気を画面を通して感じていたのですが、本作ではいつになく好印象を醸し、私が気付かなかった「俳優としての幅の広さ」を印象付けてくれました。

作品自体の印象は、スパイク・ジョーンズ監督の過去の習作、例えば「アダプテーション」「かいじゅうたちのいるところ」なんかもそうでしたけれど、どこかに孤独感を秘め、孤立し落ち込んでいる人の肩をぽんと叩き、「でも、大丈夫だよ」と言ってくれるシチュエーションを差し出してくれて、こちらも小さく微笑みかえせる余裕と暖かさをくれる感じ、ですかね。

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