The Untold History of the United States の感想

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映画監督オリバー・ストーンが企画し、共同執筆されたアメリカ史であり、オリバー・ストーンにより映像化されテレビでも数回にわたって放映された。
第一次世界大戦時のウィルソン大統領からオバマ大統領までのアメリカの歴史をその時々の大統領の施政に焦点をあてて述べている。
一言で言うとアメリカの歴史はアメリカの権益を確保していくことを第一優先としており、ビジネス界、軍需産業の隆盛を図るための政治だと言っている。著者はすべての大統領に対して批判的であり、アメリカの歴史は戦争の歴史であり、戦争を続けることによりアメリカ社会の活性化を図っているという。アイゼンハワー大統領が任期を終えるにあたって行った演説の中で、アメリカの巨大化した産軍複合体について懸念を述べているが、その後の大統領はこれを緩和するどころかさらに巨大化していったと述べている。アメリカの安全のためにと言って様々な謀略を駆使して大統領の権限を強め、軍需産業を中心にしたビジネス界の利益確保を図って来たという。これを読むとなるほどと思わせるところも多いが、主張が極端すぎると思われるところもあり、歴代大統領が言った悪の枢軸はこの本ではアメリカこそ悪の枢軸と言っているように思われる。今までソ連よりはアメリカが、イスラム原理主義よりはアメリカが正義だと考えることが多かったが、これはアメリカの戦略にまんまとはまっているということなのだろうか。
非常にページ数の多い大作で読み終えるのに時間がかかったが、非常に興味深く読めた。

米国を中心に、各国の利害・利権・闘争が如何に世界の民を翻弄してきたかがよく分かる。
読み応えあり。
現在の世の中も、先行きも決して楽観できないので、読後感は重たいです。

世界の歴史をHappy endにできるかどうかは今この世に生きる自分たちの手にかかっているわけですね。