音の影 (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル音の影 (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者岩城 宏之
販売元文藝春秋
JANコード9784167271077
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » エッセー・随筆

購入者の感想

残念ながら、今年永眠された指揮者岩城 宏之さんが書かれたこの『音の影』は音楽愛好家だけでなく、多くの人に読んでいただきたいエッセイ集だと思いました。

堅い内容では全くなく、どちらかと言えば、筆者独特のユーモアに溢れていると言えましょう。クラシック音楽をテーマにした本としては、洒脱でとても読みやすい文章が嬉しいですね。

クラシックの有名な作曲家にまつわる36篇のエピソードを岩城さん自身の思い出とともに記したもので、「週間金曜日」の2001年5月18日号〜2004年4月9日号まで連載されたものを単行本にしたものです。

アルファベット順の最初にでてくるアルベニスの「エスパーニャ」の曲にまつわる筆者自身の青春のエピソードを書いた「1秒間のキス」のくだりとか、バッハの「マタイ受難曲」が大好きだった武満徹を偲んだ「武満徹さんが最後に聞いた曲」でのしんみりとする交遊録など興味深いエピソードが綴られています。

作曲家のことを書きながら、実際は岩城 宏之さんの追想録のような色彩も帯びています。長年様々なガンと戦ってこられた筆者ですから、音楽表現だけでなく、文章でもその足跡を残される気持ちがあったのかも知れません。

痛快な学生時代の交遊録の『森のうた―山本直純との芸大青春記』や、岩波新書の『フィルハーモニーの風景』、『楽譜の風景』などを以前読んでいますので、岩城さんの文章力や表現力は理解済みですが、病気と戦い、忙しい演奏活動の合間にこれだけの文を残された才能に驚きを禁じ得ません。合掌。

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