眠れないほどおもしろい源氏物語: 千年読みつがれる“恋のドラマ”が９０分で読める！ (王様文庫) の感想

新刊で源氏物語の本が出ていたので早速買いました。
学生時代に大和和紀の「あさきゆめみし」を読んで、すっかり源氏ワールドにはまり、いろいろな現代語訳本やダイジェスト本を読んだことがありますが、その中でもこの本はかなり上位にランクインする一冊です。
多くのダイジェスト本は巻ごとにまとめてある場合が多く、はっきり言ってどれも似たり寄ったりでこれというものがありません。
それらに比べて、これは登場人物ごとにまとめてあるので読みやすく理解も深まりました。
途中に入る漫画も私が一番好きな玉鬘が超美人に描かれていたので満足（笑）。
強烈キャラの六条御息所の描き方もいい味を出していて好きです。
源氏好きでも初めて源氏に触れる人でも、間違いなく楽しめる本だと思います。

「源氏物語」といえば、光源氏の色恋物語ですが、断片的に有名な場面は知っていも登場人物が多くてイマイチ全体像がとらえられませんでした。

しかし、この本を読んで一気に「源氏物語」が身近に感じられ、ストーリーや人物像がわかりました。
人物別の章立てになっているため、興味のある章から読んでいいのも気楽ですし、途中途中にマンガが挟んであるのも飽きない原因です。

六条御息所と葵上との有名な「車争い」などは、マンガで読んでリアルにその場面を想像できましたし、また女三宮のキャラの濃さには思わず笑ってしまいました。

自分の想像していた登場人物とこの本のマンガ部分のキャラとのズレを感じる人物もいましたが（たとえば夕顔など）、大和大紀さんの「あさきゆめみし」だと登場人物の顔やタッチなどが全部似ていて区別が付きにくかったのに比べると、この本ではマンガを描いている人が何人もいて区別が付きやすかったです。

「眠れないほどおもしろい」というのは本当で、買ってきてから面白くて夜を徹して読んでしまいました。本物の源氏を読んだときは到達できなかった後半の「宇治十帖」の箇所もこの本だとなんなく理解でき、ようやく源氏の全体像がつかめたのも収穫でした。

文体も軽くてノリが良いもので、重厚な原典の古文の文章とは違いますが、全体に工夫された読みやす
い本に仕上がっているので源氏初学者には是非オススメの本です。