Physics of the Future: How Science Will Shape Human Destiny and Our Daily Lives by the Year 2100 の感想

超弦理論の熱烈なファンならば、彼の名を知らぬ人などいないであろう。彼はCUNYの研究者であるが、専門以外での活躍も多い人で、特に科学の普及活動に熱心で多くのベストセラーもある。科学解説者としてディスカバリーチャンネルなどTV出演もこなし、アメリカでも非常に人気がある。
超弦理論の著書ではないとガッカリされる方もおいででしょうが、本書は、科学者による“人類に関する”未来予測図である。理論物理学者としての著書ですから、本書の予測についてはすでにプロトタイプが在り、”現代物理学に矛盾しないことを前提“にしたということです。読書には二通りありますが、本書の場合には、著書の主張を全部受け止めて楽しんで読まれることをお勧めします。多くの方にとって、一番関心のあることは、医療分野の未来予想でしょう。ノーベル賞受賞の山中伸弥教授の成果によって、本書の予測も早く実現されるかもしれません(本書では2030年までに、幹細胞を使って脊髄損傷、糖尿病、ガンまでも治療できると断言しています)。多くの病に苦しんでいる方にも大きな希望が持てます。その他、コンピュータの未来、老化のメカニズムの解明、人工知能、ナノテクノロジー、エネルギー、・・・人類の未来にまで話が及びます。著者は本書のために世界屈指の科学者300人以上にインタビューしたという。あなたも、単なる夢ではない未来予測を楽しんではいかがでしょう。
本書の英語は難しくありません。英語好きの方は本書で、早く読みたい方は邦訳「2100年の科学ライフ、NHK出版、2012」があります。
どちらかをお読みください。お薦め。