禅とハードル の感想

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参照データ

タイトル禅とハードル
発売日販売日未定
製作者南直哉
販売元サンガ
JANコード9784905425366
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学

購入者の感想

元プロ陸上選手の為末大氏と恐山の院代、南直哉師による対談集。
異質の取り合わせのように思いましたが、実際に読んでみると、かなり二人の考えがシンクロしていることに気付きました。

サラリーマン経験を経て、永平寺に入山した南師と、オリンピックで記録を出したのちに引退した為末氏。
立ち位置は全く違いますが、お互いに絶えず自問自答しながらもがくように生きてきたことが、語りの中から見えてきます。

記録至上主義の中、ひたすらアスリートとしての自分を磨くことに専念した現役時代の為末氏。
ストイックな特訓は、傍から見ると修行僧のそれと共通するものを感じます。
限界まで身体を追い込み続けることで、一般の人とは違う考えを抱くようにもなるのではないでしょうか。

そんなハードな現役生活にピリオドを打ち、南師の著作を読んで、為末氏は恐山を尋ねます。
「走る哲学者」と言われる彼でも「語る禅僧」と呼ばれる師の考えに圧倒されるかと思いきや、彼は彼なりに長年思い悩んできたことを、一つ一つゆっくりと言葉にしていきます。

その悩みは、広く人間全体に共通する漠然とした不安でもあり、自分の中のあやふやさを突かれたようで、引きこまれたように読み進みました。

師もやはり、そうした悩みを抱えて寺の門を叩いた人物。
長いこと考え続けてきただけに、定義も明快でシビアなまでにシンプルです。

人間の限界に挑戦し、ワールドレコードを打ちたてた人物が抱える悩み。
でもそれは結局、広く人間だれもが持つ苦しみでもあります。
その生きる苦しみとどう向き合い、折り合いをつけていくべきか。
師の言葉が冴え渡ります。

師は「思想には仏教とその他しかない」と豪語していますが、思えば確かにその通り。
ほかの一神教とは、性質が違うものだということがわかってきました。
夢や希望は、人が生きる上で必要なものですが、それに縛られ過ぎる功罪も語られます。
そもそもは「自分はなぜ生まれてきたのか」という問いから全ては発しているという師。

異なる道でも究めた人の考え方や感じ方には共通する点が多い。
悩んで苦しんで、モミクチャにならないと見えてこない視界があるんですね
何も疑問を持たずに過ごしている日常の取組みに「何故?」の問いをあたえてくれる。
異業種の対談が非常に面白い。

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