教養の力 東大駒場で学ぶこと (集英社新書) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル教養の力 東大駒場で学ぶこと (集英社新書)
発売日2013-04-17
製作者斎藤 兆史
販売元集英社
JANコード9784087206852
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

ロンドンから帰ってからの斎藤先生の新著を書店に行くたび探していたが、この本に気づいたのは発行以来4ヶ月経ってからだった。すぐに買って読みました。

明治後期頃から大正期を経て、90年代の教養の受難の時期、そして今にいたる世の教養観の変遷について触れ、著者のかかわる時代の取り組みについて具体的に述べられます。東大の授業における内部評価・外部評価など、斎藤先生が疑問に思う内部事情が少しですが知れて興味深かったです。

これまでの他の一般向け著書に通底していた著者の基本的立場は、漱石の一文なども引用されていて変わりません。それを踏まえて「教養が身についた人物像」を探り、そのような人物像に接近するために教育はどのようであるべきか教育実践の方法論が論じられています。
英語の先生ですから、英語教育ないしは英語学習を通して教養をいかに身につけるかを主に論じているのかと思いきや、必ずしも英語にこだわっていません。が、あくまで指導者の側から論じられ、読者にこうすべきだ的に強いるところはありません。したがって、著者の活動の場は東大の教室ですから書名の副題に「東大駒場でまなぶこと」というのも頷けます。しかし、読者の立場で考えると、なにも東大生でなくても、この本を読んで自ら考える教養観に従い自己研鑽に励めばいいのだと思います。著者のいいたいこともそれなのではないかと思います。

明治・大正期の教養として取り上げられた本など、今考えると当時の旧制高校生の選良意識をくすぐるアイテムに過ぎなかったのではないかと思います。この本の60頁台のあたりで取り上げられていることなど、自己愛に満ちた文章で読んでいるこっちが恥ずかしくなります。著者が高校生のときその1冊を読んで「さっぱりわかりませんでした。」と先生に報告して笑われたという思い出を述べた行ではこちらも思わず笑いました。この章の最後の数頁に書かれている著者の意見に共感を覚えると同時に、著者の若い現代の学生たちへの愛情を感じました。また、この本のあとがきに感銘を受けました。著者の他の本を読んだことのない人は、先にあとがきを読んでから本文を読むといいかもしれません。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

教養の力 東大駒場で学ぶこと (集英社新書)

アマゾンで購入する
集英社から発売された斎藤 兆史の教養の力 東大駒場で学ぶこと (集英社新書)(JAN:9784087206852)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.