「戦争学」概論 (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | 「戦争学」概論 (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 黒野 耐 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061498075 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 |
購入者の感想
最初の2章で「地政学」について解説。その後の6つの章でナポレオン戦争から第一次・第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争など具体的戦争をとりあげ、そして、最後の章で「アジア太平洋の戦争学」として日本の安全保障について解説している。
300ページ近くと新書にしては分量が多く、読み応えがある。随所に「なるほど」という記述もある。近代以降の戦争についてしっかりと解説しようという意図を充分に感じる、好著である。
しかし、その反面で、これだけ多くの内容を一冊に盛り込もうとしたことにはやや無理があり、紙幅の関係でやや説明し足りない章もあるように思う。
300ページ近くと新書にしては分量が多く、読み応えがある。随所に「なるほど」という記述もある。近代以降の戦争についてしっかりと解説しようという意図を充分に感じる、好著である。
しかし、その反面で、これだけ多くの内容を一冊に盛り込もうとしたことにはやや無理があり、紙幅の関係でやや説明し足りない章もあるように思う。
「戦争とは政治におけるとは異なる手段をもってする政治の継続にほかならない」
このクラウゼヴィッツの定義がこの本の重要なテーマになっている。
日本では、第二次世界大戦での軍部の暴走から戦争が起こったために、戦争は「軍部」が起こすものだと思われているが、そうではなく、戦争は「政治」がおこすものであって、だからこそ政治家がきちんと軍事を学ばなければならない。
初めの2章程は地政学にページが割かれている。地政学とは要するに、世界のどの地域をおさえれば自国が有利になるか、ということだと思う。世界の国々はこの地政学的思考によって大戦略を定め行動しているのだが、日本には地政学を研究している機関もなければ大学での講義もないらしい。それは日本の第二次世界大戦での大東亜共栄圏構想等の過ちを地政学のせいにしているからであるが、筆者にしてみればそれは間違いであり、地政学自体が悪いのではなく、その適用が誤っていただけだという。
その他、ナポレオン戦争からイラク戦争まで、戦争がどのように変わっていったのかが書いてある。新書にしては300ページ程あってすごく読み応えがあった。
「世界の安全保障の中心には、いやでも軍事があり、現実に戦争は頻発している。たとえ、日本から決して手を出すことがなくても、攻撃されることを百パーセント避けられる保証はないのである。筆者は戦争を推奨するために、戦争を学べと主張しているのではない。知らないことがもっとも危険であると言いたいのだ。」
もう、めちゃくちゃ賛成。
このクラウゼヴィッツの定義がこの本の重要なテーマになっている。
日本では、第二次世界大戦での軍部の暴走から戦争が起こったために、戦争は「軍部」が起こすものだと思われているが、そうではなく、戦争は「政治」がおこすものであって、だからこそ政治家がきちんと軍事を学ばなければならない。
初めの2章程は地政学にページが割かれている。地政学とは要するに、世界のどの地域をおさえれば自国が有利になるか、ということだと思う。世界の国々はこの地政学的思考によって大戦略を定め行動しているのだが、日本には地政学を研究している機関もなければ大学での講義もないらしい。それは日本の第二次世界大戦での大東亜共栄圏構想等の過ちを地政学のせいにしているからであるが、筆者にしてみればそれは間違いであり、地政学自体が悪いのではなく、その適用が誤っていただけだという。
その他、ナポレオン戦争からイラク戦争まで、戦争がどのように変わっていったのかが書いてある。新書にしては300ページ程あってすごく読み応えがあった。
「世界の安全保障の中心には、いやでも軍事があり、現実に戦争は頻発している。たとえ、日本から決して手を出すことがなくても、攻撃されることを百パーセント避けられる保証はないのである。筆者は戦争を推奨するために、戦争を学べと主張しているのではない。知らないことがもっとも危険であると言いたいのだ。」
もう、めちゃくちゃ賛成。