雇用、利子および貨幣の一般理論〈下〉 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトル雇用、利子および貨幣の一般理論〈下〉 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者ケインズ
販売元岩波書店
JANコード9784003414521
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学

購入者の感想

 ケインズ「一般理論」の新訳という今回のはらはらどきどきの企画、結果的に大正解であった。特に、この(下)巻であの宇沢弘文が解説を書いているのだ。この解説が実にいい。この解説と訳者間宮による「若干の覚書」、これで「一般理論」が現代に通ずる道を開いてくれている。
 (上)巻の間宮による序文に「・・・・・彼の理論もまた決して死んでいない。時代環境に適応できずに自然死したわけではなく、もしも死んでいるように見えるとするならば、それは「殺意」をもって、「殺された」のである。ケインズ理論は、新しい理論によって棄却されたのではなく、新自由主義的世界とそのイデオロギーにとって不都合だから葬り去られたのである・・・・・」という一文に間宮の並々ならぬこの翻訳にかける意気込みが感じられる。
 そして、宇沢の「解題」、決してケインズ賛美ではないところがいい。「イギリスによるインド植民地支配は、人類の長い歴史の中でも、もっとも残忍、冷酷で陰惨をきわめたものの一つであった」と述べ、このことを不問にしてポンドとルピーの為替レートの研究に情熱を注ぐケインズに対して、「つよい違和感を覚える」といっているのだ。
 
 肝心の本文であるが、「一般理論」を読破した事がない者でも、他の一般的なマクロ経済学の教科書でケインズをそこそこ勉強したことがある者にとっては、本書は目からウロコがぼろぼろ落ちる。おくればせながら「ああ、そうだったのか」と納得できる箇所を多々発見することができる。
 そして、なるほど名著とはこういう本のことを言うのだと納得させられる一冊である。

特に雇用問題への慧眼には敬服する。中でも第20章の雇用関数はすばらしい。

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