SUPERNAL LIBERTY の感想

曲はとても気に入りました。
これ以上エネルギッシュなのは無理だろ、というところを飛び越えています。

さて私は音質についてレビューしたいと思います。
私は水樹奈々さんの曲だけでなく、ミックスやマスタリングもいつも楽しみにしています。
今回の音質なのですが、違和感があるのは確かです。
というのも（趣味程度に曲を作ってる私の狭い見識での意見ですが）ちょっと常識はずれというか、
当たり前のようにされる雰囲気の演出から一歩離れている印象を受けます。
綺麗で壮大、そういう流行りの音を期待すると厳しいかもしれません。

ですがそれが、低いレベルのものであるとは言い切れないと思います。
私は水樹奈々さんの声をできるだけ活かそうとしているように感じました。
私もはじめ、繊細なイヤホンで聴いてみて戸惑いましたが、
スピーカーでライブ気分で聴いてみるとニヤリとしました。

リリース前に「これまでの集大成と次章に向けての大きな節目となる一枚」
と奈々さん本人も仰っていましたが、その言葉に違わない傑作アルバムです。
何よりも従来のアルバムとの最大の相違点である、10人以上の異なる作曲家陣を起用している点
が見事に良い化学反応を起こしています。
変拍子調がクセになる「アンティークナハトムジーク」/前山田健一氏×伊藤賢治氏×水樹奈々というA&G業界夢のトリオ楽曲
「Million Ways=One Destination 」/ドリカムのソロカバー「笑顔の行方」/昭和歌謡曲を意識した「哀愁トワイライト」
様々な作曲家陣と贈る挑戦的な楽曲達が、従来の「水樹奈々の楽曲」という殻をあえて破らせることで、
奈々さんの歌の可能性を新たな次元へと引き上げさせ、10枚目という到達点に在りながらも、到達点から
更なる奈々さんの歌の可能性を感じることができるのは聞き手としては非常に嬉しい限りです。
そして新たな魅力を引き出す楽曲群を終えた14曲目に水樹奈々楽曲の原点である「矢吹俊郎」御大の楽曲、
「僕らの未来」登場まず曲順構成が泣かせます。集大成と言っていた意味をここで改めて知ることができました、
節目として矢吹さん以外はありえません。この楽曲がまたファンの期待に応える矢吹節をゴリゴリに炸裂させており、
1st~4thアルバムの時代を感じさせてくれて、昔からのファンにはグッとくるものがあります。
以上のように、奈々さんの新旧様々な歌の魅力が詰まった集大成の名を冠するにふさわしいアルバムです。
買いです。

記念すべき１０作目のアルバムで、水樹奈々の集大成といううたい文句がありましたが、集大成というよりは、いままでの彼女をおさらいするような総まとめ的な内容だったように感じます。

というのも、曲作りにあたらしいアーティストを招いたりした割に、いつもの水樹奈々を逸脱しておらず、どの曲にも目新しさはありませんでした。
（ひそかに期待していたヒャダインこと前山田健一氏が関わった曲でさえ、前にも聴いたようなヴィジュアル系ロックで残念だった。）

もっと彼女のイメージをブチ壊してくれると思っていたのですが、過剰に期待しすぎたのでしょうか。
DISCOTHIQUEやLovely Fluitのようなキラーポップも入っていないし、たぶんプロデュースする側の課題でもあると思うのですが、水樹奈々本人も語っているように、ここからさらに高い所を目指すのは相当に難しいことでしょう。
最近はテレビでの露出も多いのが気になります。声の表現を極めたいという意志はブレずにいてほしいです。