2045年問題 コンピュータが人類を超える日 (廣済堂新書) の感想
参照データ
タイトル | 2045年問題 コンピュータが人類を超える日 (廣済堂新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 松田 卓也 |
販売元 | 廣済堂出版 |
JANコード | 9784331516836 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 科学読み物 |
購入者の感想
「ムーアの法則」や「収穫加速の法則」に従うと、だいたい2045年頃に人智を越えたコンピュータが誕生する日(=技術的特異点)が訪れるという、技術者/科学者の説を取りあげた本。もしそれが実現した場合、どうなるかは今のところ誰にも分からないため、2045年「問題」と呼んでいる。本書では、『ターミネーター』『マトリックス』『攻殻機動隊』などSFの傑作を参照しながら、そうした説を唱えるカーツワイルやデ・ガリス、そして著者自身の未来予測を紹介している。
1.意思と知性を有するコンピュータに人間が支配もしくは絶滅させられる
2.人間が肉体を捨ててコンピュータの中に入り込み、不老不死を謳歌する
3.人間はコンピュータの力により知能や運動応力を強化しながら生きる
4.そんなコンピュータは創られず、何も起こらない
途中では、計算機としてのコンピュータの誕生に始まり、今日でどこまで進歩してきたかが概観されており、ふつうに興味深い。特に今では「計算の速さ」という量的なものではなく、人間と同じような何かしら質的な思考・判断(つまり「パターン認識」)ができる人工知能の開発にむけて、競争が起きているらしい。そんな感じで、最先端のコンピュータ科学の簡潔な概観を知ることができる。
とはいえ、私のような凡夫にとって差し迫った問題として受け取れるのは、
第6章「コンピュータが仕事を奪う 大失業時代の予兆」
第7章「人工知能開発の真意 コンピュータは人類を救えるか」
という最後の2章だった。そこまでは上記の通りコンピュータの技術的進歩の歴史と、ほとんどSF的妄想の未来予測が描かれているので、読者は、このラスト2章で突如現実に引き戻されるような構成になっている。
1.意思と知性を有するコンピュータに人間が支配もしくは絶滅させられる
2.人間が肉体を捨ててコンピュータの中に入り込み、不老不死を謳歌する
3.人間はコンピュータの力により知能や運動応力を強化しながら生きる
4.そんなコンピュータは創られず、何も起こらない
途中では、計算機としてのコンピュータの誕生に始まり、今日でどこまで進歩してきたかが概観されており、ふつうに興味深い。特に今では「計算の速さ」という量的なものではなく、人間と同じような何かしら質的な思考・判断(つまり「パターン認識」)ができる人工知能の開発にむけて、競争が起きているらしい。そんな感じで、最先端のコンピュータ科学の簡潔な概観を知ることができる。
とはいえ、私のような凡夫にとって差し迫った問題として受け取れるのは、
第6章「コンピュータが仕事を奪う 大失業時代の予兆」
第7章「人工知能開発の真意 コンピュータは人類を救えるか」
という最後の2章だった。そこまでは上記の通りコンピュータの技術的進歩の歴史と、ほとんどSF的妄想の未来予測が描かれているので、読者は、このラスト2章で突如現実に引き戻されるような構成になっている。
本書の話題は、すでに多くの方々がお読みになった邦訳「ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき 、レイ・カ−ツワイル著 、日本放送出版協会 、2007」(原著:The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology 、Ray Kurzweil (2005))の内容を一般読者向けの解説書として最近の話題までを含めて書かれた新書と考えていいだろう。実際、レイ・カ−ツワイルの著書は、非常に興味深く面白いが、内容を読者なりに理解するはかなりの科学的知識を要求され、ただ読んでもカ−ツワイルの主張をそのまま受け入れることになりかねないからである。
さて、本書は”2045年にコンピュータが人類全体の能力を超え、それ以降の歴史の進歩を予測できなくなるという説がある“という文章から始まる。これが「特異点問題」と呼ばれているものである。初めてこの問題を知った方にはかなり刺激的で興味深く読めるでしょう。1960〜1970年代には人工知能研究者たちの威勢が極めてよかった。しかし、不可能であることを主張する数学・物理学研究者は多く、ご存知、ペンローズ(ゲーデルの不完全性定理による)の予想などがあった。しかしながら、脳とコンピュータの本質的違いは解決してはいない。このこともあって、欧米では人工知能の研究・開発が盛んである。本書では、その最前線の研究、スーパーコンピューターの実力、さらに、あまり、うれしくない”大失業時代“の到来の予想などにも話は及ぶ。これは、極めて近い将来であって、実際にこの様な予想が実現するのなら、単なるSFではなく現実の問題となる。本書を読まれ、更なることを知りたいと思う方には、上述のレイ・カ−ツワイルの勇ましいほどの著書をどうぞ。
本書は、興味深く、読みやすいと思います。
さて、本書は”2045年にコンピュータが人類全体の能力を超え、それ以降の歴史の進歩を予測できなくなるという説がある“という文章から始まる。これが「特異点問題」と呼ばれているものである。初めてこの問題を知った方にはかなり刺激的で興味深く読めるでしょう。1960〜1970年代には人工知能研究者たちの威勢が極めてよかった。しかし、不可能であることを主張する数学・物理学研究者は多く、ご存知、ペンローズ(ゲーデルの不完全性定理による)の予想などがあった。しかしながら、脳とコンピュータの本質的違いは解決してはいない。このこともあって、欧米では人工知能の研究・開発が盛んである。本書では、その最前線の研究、スーパーコンピューターの実力、さらに、あまり、うれしくない”大失業時代“の到来の予想などにも話は及ぶ。これは、極めて近い将来であって、実際にこの様な予想が実現するのなら、単なるSFではなく現実の問題となる。本書を読まれ、更なることを知りたいと思う方には、上述のレイ・カ−ツワイルの勇ましいほどの著書をどうぞ。
本書は、興味深く、読みやすいと思います。