東方彩技帖 (玄光社MOOK) の感想

７人のイラストレーターのメイキングによるSAIのイラストテクニック本です。
メイキング形式で解説しているため、SAIの機能を全て網羅しているわけではありません。
SAIを導入したばかりでまだSAIについて全然わからない、というような初心者には向かないと思います。
例えば、SAIの大きな特徴の一つであるペン入れツールなどはほとんど解説されていません。

この本は、SAIはそこそこ使えるようになったが、今とは違う表現方法で絵を描いてみたい、というような人に向いていると思います。
SAIについての解説、というよりは、各イラストレーターそれぞれの色のチョイスや重ね方が参考になります。SAI以外のソフトを使用していても応用が効きそうです。

■特に良かった点
・使用ツールはすべてSAIで完結しているところ
　SAIはフィルタの少なさから、フォトショップなどのソフトを併用して描かれることも多いですが、この本はSAIのみで描いたイラストだけで構成されています。
・イラストレーターそれぞれのタッチが異なる
　クセのない塗り方から、背景を中心に解説したもの、テクスチャを多用したもの、ビビットでパキッとした塗り方、など様々なバリエーションがあります。
　ありきたりな、いわゆるギャルゲ塗りや、こてこての萌え絵がないことも高印象。

■少し気になった点
・初心者向けではない
　前述の通りです。自分はSAIには慣れていたので問題ありませんでしたが。
・本文のフォントが細いため微妙に読みづらい
　粗探しのような感じですが、個人的に少し気になったので。この本の評価を大きく下げる要因ではないです。

東方が好きだったり、好きなイラストレーターがいる、という理由であれば買っても損はないと思います。
価格もページ数にあった設定だと思います。

●おまけ
各イラストレーターのメイキングのあとに、その方の東方のイラストが数点載っています。
メイキングで使用した絵も含めた描き下ろしも載っているので、掲載枚数を載せておきます。（敬称略）