NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 NHKスペシャル の感想
参照データ
タイトル | NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 NHKスペシャル |
発売日 | 2012-07-31 |
製作者 | 春日 真人 |
販売元 | NHK出版 |
JANコード | 登録されていません |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 |
購入者の感想
世紀の難問と言われたポアンカレ予想を解いたペレリマン博士の生涯とポアンカレ予想に挑戦してきた数学者たちの取り組みを中心にして書かれている。ポアンカレ予想に取り組んできた数学者たちへのインタビューは丁寧に書かれているが、いかんせんペレリマン博士への取材は失敗しているので本当の核心部分には迫れていないのが残念である。また、僕のような文系の人間にとっては、難しい内容も多かった。しかし、世界中の天才たちですら解くことができなかった問題なので、それは仕方があるまい。
また、本書はポアンカレ予想の誕生から解決までを追った作品であるとともに、問題解決(数学にとどまらない)の方法に対する示唆、優秀な研究者が何を求めているのか(どうすれば優秀な研究者、あるいは人材を集められるのか)といった他分野に応用できるヒントも書かれているので、数学は苦手という人にも役に立つだろう。
また、本書はポアンカレ予想の誕生から解決までを追った作品であるとともに、問題解決(数学にとどまらない)の方法に対する示唆、優秀な研究者が何を求めているのか(どうすれば優秀な研究者、あるいは人材を集められるのか)といった他分野に応用できるヒントも書かれているので、数学は苦手という人にも役に立つだろう。
科学番組作りに関してつくづくNHKは素晴らしい局だと思う。民放もたまにいい番組作りをするけれど、打つ数とヒット率とリサーチの詳細さの水準、いずれもNHKは群を抜いている。公共放送だからというだけでなくスタッフの教養レベルの高さと問題意識の大きさでまぎれもない差がついてるのだと思わずにはおれない。最先端の研究レベルの数学でNHKスペシャルだなんて!「地球大紀行」「アインシュタインロマン」はじめとする最先端科学を題材とした数々の名科学番組を送り出してきたNHKですが、まさか数学には手を出すことはないだろうと思っていただけに新鮮な衝撃でした。
数々の才能の挑戦を退けてきた100年来の超難問「ポアンカレ予想」を解決した業績で「数学界のノーベル賞」と言われるフィールズ賞授与を打診されたにもかかわらず受賞を拒否、数学界ばかりか社会からも隔絶し行方をくらました謎の天才数学者ペレリマン。これは間違いなく科学史の世界に現われたひさびさの大物役者です。そりゃあNHKでなくとも飛びつきたくなるわけです(でもNHKしか飛びつかなかったみたいですが・・・)。これはもう好奇心くすぐられるゴシップでしょう。
しかしそこはさすがNHK。ゴシップを追いかけまわすのではなく、話の前提となるペレリマンの数学的業績の意味が何であるのかを説明すべくポアンカレ予想研究の歴史を丁寧にたどってくれます。ポアンカレ予想解決に文字通り人生を捧げたパパキリアコプーロスの悲運の物語、「マジシャン」と称される圧倒的な才能により同業者の戦意を喪失せしめたサーストンの改心の物語・・・正直ペレリマン以外の数学者たちの物語にじんわりとするものがありました。この番組(本書)の一番見事な点はポアンカレ予想研究の歴史を関係者に直接インタビューして再構成している点ではないだろうか。こういう徹底した番組コンセプトのあり方こそがNHKに一番感心するところです。
数々の才能の挑戦を退けてきた100年来の超難問「ポアンカレ予想」を解決した業績で「数学界のノーベル賞」と言われるフィールズ賞授与を打診されたにもかかわらず受賞を拒否、数学界ばかりか社会からも隔絶し行方をくらました謎の天才数学者ペレリマン。これは間違いなく科学史の世界に現われたひさびさの大物役者です。そりゃあNHKでなくとも飛びつきたくなるわけです(でもNHKしか飛びつかなかったみたいですが・・・)。これはもう好奇心くすぐられるゴシップでしょう。
しかしそこはさすがNHK。ゴシップを追いかけまわすのではなく、話の前提となるペレリマンの数学的業績の意味が何であるのかを説明すべくポアンカレ予想研究の歴史を丁寧にたどってくれます。ポアンカレ予想解決に文字通り人生を捧げたパパキリアコプーロスの悲運の物語、「マジシャン」と称される圧倒的な才能により同業者の戦意を喪失せしめたサーストンの改心の物語・・・正直ペレリマン以外の数学者たちの物語にじんわりとするものがありました。この番組(本書)の一番見事な点はポアンカレ予想研究の歴史を関係者に直接インタビューして再構成している点ではないだろうか。こういう徹底した番組コンセプトのあり方こそがNHKに一番感心するところです。