サイタ×サイタ (講談社ノベルス) の感想

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参照データ

タイトルサイタ×サイタ (講談社ノベルス)
発売日販売日未定
製作者森 博嗣
販売元講談社
JANコード9784062990332
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

購入者の感想

「深淵に触れる森ミステリィ」
どこが触れてるんだろう…

森博嗣が実験的なことを、しているということはわかるんです。
森風に言えば、「どんでん返しをしないというのが、どんでん返し、ミステリィ」というね。
近い未来、主流になることを今しているのかもしれない。
森博嗣はそれができる人だと思うし、してきたし、見てきた。「近況報告」から自分は見てるんです。

ただ、今それに1000円の価値があるかというと、これは、高いです。
1000円といえば文庫でかなりの大作が買える。
京極作品も買えるかな。

森博嗣は自分の作品の価値を調整できる人なのでこれが1000円出す価値があると判断されておられると思うけれど、
読者としては800円くらいかなと思いました。
講談社ノベルスで1000円は、相当高いですよ。

森ミステリィファンへのサービス的要素もなかった。
これは、読んでいて辛い…。かなり辛い。何一つ面白くなかった…。
シリーズファン向けの作品とも思えないし、すべFドラマ絡みで読んでみようかと手に取った人も森ミステリィの凄さを感じ取ることができるとは全く思えない。本格、新本格がムーブメントを起こすずっと前のただの社会派ミステリーという印象(そんなそんな読んでないけど。西村京太郎とか)。

それは自分だって、Vシリーズのラストの衝撃や「四季」「百年シリーズ」の秘密で鳥肌が立つような想いをしてきたからXシリーズについてきてる。
「ひょっとしたら」という想いはすごく強い。これまで何度も目にしてきたような展開が待っているのかもしれない。それを期待したいし、読み続ける。
ただ、この一冊だけ見てどうかといえば・・

Xシリーズ第5弾です。

B級社会派ミステリィがお馴染みの登場人物で淡々と進行するものの、
真相はほとんど推測の域を出ずに終わる、といういつものパターンです。

この連綿と続く一連のシリーズの登場人物の近況を伝えるのが目的の、
まるでファン・サービスのような一冊です。
そういう意味では、Xシリーズ自体が長いエピローグのような
位置づけなのかも知れません。

このXシリーズも、次回作『ダマシ×ダマシ』で完結とのことなので、
どう完結させるのかを楽しみにしたいと思いますが、5作目の本作の
盛り上がりのなさを思うと、あっさりと終わるような気もしてきます。

事件が解決しても動機は不明なまま、そこは他人には分からないものでしょ?
という現実社会に近い感覚を持ち込んだところが本シリーズの特徴かつ弱点
なんせ小説としての盛り上がりには欠けるし、ミステリーとしての満足感に乏しい
シリーズ最大の魅力は、毎度の登場人物たちが繰り広げるシュールな会話でしょうか

つまるところ、決してファン以外にはおすすめできません
このレビュー書いている現在、著者のS&Mシリーズを原作としたTVドラマが放映されていますが、
そこから興味を持った方、間違っても本シリーズから購入しない方がよろしいでしょう

とはいえファンである私にとって今回は案外に読みごたえがありました
ストーカー+爆弾騒ぎという、前作ムカシ×ムカシに比べてはるかに事件が派手ということもありますが、
今回は動機もトリックも犯人も本当に分からない!
答えに辿り着けないのではなく、いかようにも考えられるからです
結局一番怖いのは普通の人間だよねという本シリーズのメッセージ?が色濃く出た作品だと思います

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