群像 2014年 09月号 [雑誌] の感想

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参照データ

タイトル群像 2014年 09月号 [雑誌]
発売日2014-08-07
販売元講談社
JANコード4910032010945
カテゴリジャンル別 » 雑誌 » 文芸・総合 » 文芸

購入者の感想

創作合評は、吉増剛造、中条省平、長野まゆみの3人が、
上田岳弘「惑星」、多和田葉子「献灯使」、滝口悠生「愛と人生」を取りあげた。

「惑星」については、新潮8月号に掲載されたものを読んでいたので、
各文芸誌や新聞の書評などを追っていたが、
それらの中で一番解釈が深く、正しく、かつ平明だったのが
この創作合評だった。

まず、取りあげる作品の、かなり詳しいあらすじが示され、その後に、
メンバーが対談形式で書評を行うのがいつものパターンである。

22通のメールから成る「惑星」の、そのメールを主人公が送っていた理由が、
この粗筋ではっきりとわかる。
根底には、作者上田のかなりリアルで骨太な現実認識があること、
哲学的なハードSFの体裁をとっていること、
最大の主題は、個の多様性と種の生存のための合理性の
二元論的対立であること、等が次々に明かされてゆく。
まだ若いのに手練れの剣だ、昔の人にはこうは書けない、と結ばれている。

また、今号には、2012年11月号で好評だった企画の続編として、
「群像的文体練習2 名「迷」訳のレッスン」が掲載されている。
こちらは、谷崎由依、鴻巣友季子、野崎歓の対談と実践である。

このテーマでは欠かせない村上春樹の翻訳と文学の秘密についての
考察もあり、誤訳が誤訳であるからこそ、作品に詩的なイメージを付加し、
原作の可能性を拡大することもあることや、原文にあたった際に、
一番引っかかるキーポイントを文章の磁場と名付ける箇所など、
とても読み応えがある。

タイトル1つ取っても、ヘミングウェイのあの名作は、
「どの鐘も汝を弔う」「弔鐘の主を問うなかれ」「戦地に響く鐘の音」
「主なき弔鐘」などとバリエーション豊かに名づけ得る。
全体を理解した上で訳する各人のこだわりが現れている。

オースティンやシェイクスピアの訳文の各社比較はためになるし、

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