Health, Civilization and the State: A History of Public Health from Ancient to Modern Times の感想

近代国家が人々の健康に何をしようとしてきたのか、そして、何をしてきたのかという問題関心で書かれた新しいタイプの公衆衛生の通史。国民国家の登場を背景とし国力の源泉としての人口、健康が問題にされ、黒死病の流行をきっかけとしてその対策が整備されていったこと、救貧思想と公衆衛生の関係、優生思想の流布と影響などを、イギリスを中心に、ドイツ、スェーデン、アメリカ等との対比の中で述べている。ローゼンのテキストに比べて記述に躍動感はないが、新しい視角を提示した好書。