ブラックスワンの経営学 通説をくつがえした世界最優秀ケーススタディ の感想

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タイトルブラックスワンの経営学 通説をくつがえした世界最優秀ケーススタディ
発売日販売日未定
製作者井上達彦
販売元日経BP社
JANコード9784822250294
カテゴリビジネス・経済 » 経営学・キャリア・MBA » 資格・就職・MBA » MBA(経営学修士)

購入者の感想

 「飛行機がツインタワーに激突するとき、乗客から電話で伝えられたメッセージは、憎しみや復讐ではなく、すべて愛のメッセージだったという」

 映画、ラブ・アクチュアリーの引用から本書は始まる。極限というコンテキストの中で人が選ぶ言葉は真実を語る。経営学のトップジャーナル、Academy of Management Journalで一年に一本か二本にのみ贈られる最優秀論文賞。その賞の中から5本の事例研究を選び、読者に提示する。事例研究の文脈もまた、冒頭の引用と同じく真実を語る。そして人の思考力は事例から得られる活きたイメージとの親和性が高い。ケーススタディーは人の知性を活性化させる。統計は相関を導くが因果関係を導くことが出来ない。事例は一般性に乏しいが因果を提示できる。そんな点もケースの魅力である。

 ブラックスワンとは「あり得ないもの」の代名詞だ。しかし世界に一匹、それがいることが証明されれば、人は考えを改めざるを得ない。人間の抱く固定観念は強力だ。あのタイプの人間と私は合わない、という考えは誰もが持つ感情だろう。しかし一人でも馬の合う者を見つけてしまったならば、そんな固定観念など壊さないわけにいかない。

ビジネスの世界にも同様のものがある。そうしたステレオタイプを創造的に破壊する研究こそ、ブラックスワンの経営学なのだ。例えばマイケル・タッシュマンは「急進的な変化は非連続にしか生じない」という定説を打ち立て、組織変化の権威となった。しかし本書第二章に取り上げられたプルーマンらは「急進的な組織変化は、意図せざる形で創発的にゆっくりと進行し得る」ことを発見し、経営学の世界にブラックスワンを突きつけた。

 一つ一つの論文の内容も魅力的。凋落した教会が、ホームレスに施しを与えるのではなく、ゲストとして迎えたことがきっかけで成された再生劇。ベンチャー企業のM&Aから導き出された、裏切られるのは誰かを明らかにした研究。等。

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