月曜日は最悪だとみんなは言うけれど (村上春樹翻訳ライブラリー) の感想

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タイトル月曜日は最悪だとみんなは言うけれど (村上春樹翻訳ライブラリー)
発売日販売日未定
販売元中央公論新社
JANコード9784124034974
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » イギリス・アメリカ

購入者の感想

この本により、村上春樹氏が紹介してくれなければ知らずにいた事実(記事)を読めて
幸いでした。(アメリカの雑誌を常に目を通している方々には関係ないでしょうが、
一般人の私には掘り出し物でした)
カーバ、アーヴィングー等 出版に際しての色々な背景を知って再読すると感慨深いです。

 D.T.マックスのこの1998年リリース文書を訳出した村上春樹の功績は大きい。村上自身も大好きで、本人自らその作品を翻訳している現代アメリカを代表する作家レイ・ガーヴァーの初期作品群に加えられた編集人による大幅な書き換え・削除行為の実態暴露である。文学事件!村上氏にとっても衝撃だったろうと思われるが、それはそれとして、オリジナル原稿の訳出も行っているので、これはアメリカ的で民主的じゃないだろうか。

 レイの大親友の追悼エッセイも興味深いが、ティム・オブライエンなるヴェトナム戦争従軍作家、さらにはジョン・アーヴィングの短篇も面白い。

 表題は、自称「天才!」トム・ジョーンズの短篇にも引用されているブルーズの歌詞から取っているようだが、村上は彼とある会合で出会い、お互いに意気投合したようで今回の訳出となった(?)・・・・

 各作家の紹介およびオリジナル英文の解説等、村上の翻訳は相変わらず読みやすい。今後、これらの作家の作品を読むいい機会になりそうだ

レイモンド・カーヴァーの創作・人となりに関するエッセイ二つ、ティム・オブライエンのヴェトナム再訪記と短篇二つ、ジョン・アーヴィングのインタビュー記事に、トム・ジョーンズの短編、デニス・ジョンソンのエッセイの計8篇。「アメリカ」作家に関する雑多な文章を村上氏が翻訳、それぞれに短いイントロダクションを付けたもの。村上氏がいつか翻訳しようと溜めていたアメリカの雑誌のスクラップの中から、特に気に入ったものをチョイスしたとのこと。村上氏の関心の方向性、創作の源流がどこにあるのかが伝わってくるコンピレーションです。
死後10年経って、カーヴァーの創作の謎に迫るエッセイもなかなか良かったですが、ティム・オブライエンのヴェトナム再訪記にはへこみました。ヴェトナム戦争も過去のこととして、歴史の闇に葬られていますが、多くの人にとってはいまだ現在形なのでしょう。ちょっと背筋が寒くなる内容です。それから、ジョン・アーヴィングの人となりが伝わってくるインタビューと、トム・ジョーンズの説明の付かないエネルギーに満ちた短編(タイトルは "I am a Genius!")もしびれます。
文中にもありましたが、ブルースの名曲、「ストーミー・マンデイ」の歌詞、"They call it stormy Monday, but, Tuesday’s just as bad." からタイトルを取っています。
村上氏は、自分についての評論は読まないと言うことですが、他人に関してのものは読んでいるようです。他人事は、ただただ興味深いということなのでしょうか。いずれにせよ、どの文章をとっても一級の書き物で、それぞれに味わい深い、濃い内容の一冊です。現代アメリカ文学が好きなら、お勧めです。

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