生物に学ぶイノベーション―進化38億年の超技術 (NHK出版新書 440) の感想
参照データ
タイトル | 生物に学ぶイノベーション―進化38億年の超技術 (NHK出版新書 440) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 赤池 学 |
販売元 | NHK出版 |
JANコード | 9784140884409 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » バイオテクノロジー |
購入者の感想
生物の形態や機能や仕組みを科学技術分野に活用した、「生物模倣技術」について事例中心に紹介した本。著者は科学技術ジャーナリスト。次のようなものが取り上げられている。
・タマムシが遠くの熱を感知する仕組み→新型赤外線センサー
・ハムシの水中歩行技術→泡を利用した水中接着技術
・ハスの葉(ロータス効果)とバラの花びら(ぺタル効果)→超撥水性薄膜
・ホタルの光→ATP測定キット
・アメーバの動き→自律分散制御システム
・長イモやモズクのねばねば→インフルエンザ無害化成分、がん細胞死滅成分
・カイコ冬虫夏草→ニューロン損傷部位修復効果
・老化しないハダカデバネズミの遺伝子→細胞分裂の速度がゆっくりで代謝も遅いことなどから健康につながる物質の発見
・イエバエのサナギの効果→養殖魚用飼料
・重イオンビーム照射による突然変異の誘発→塩分耐性のある植物への品種改良
・他
著者も、こうした最先端の研究には持続可能な形にどうつなげてゆくのか課題があることは認めているが、確かに本書に紹介されている技術には、なんとか実用段階にまでこぎつけたものと簡単な実証実験レベルにとどまるもの、もしかしたらそのレベルにさえまだ達していないように読めるものが混在しており、例えばガンに効くとか、長寿遺伝子に作用するというようなものは、果たして本当に我々の健康や長寿に貢献できる形になるのか現時点ではなんともいえない。また、採算性や大量生産性において明らかに問題があるものも散見されるのだが、あまりそのような点については書かれておらず、科学技術研究の見極めにおいて重要な客観的で批判的な視点もバランスよく盛り込むという点において、少々甘いところがあるように思われた。
一方、どこまで合っているかどうかはともかく、著者の意見としては、生存競争の中で生き残ってきた生物と市場競争の中で勝ち残ってきた技術には以下のような共通点があるとし、これらは今後の社会、特に科学技術のあり方において指針になるのではないかというのは、心に残った。
1.変えること、換わることの勇気を放棄したものは淘汰される
・タマムシが遠くの熱を感知する仕組み→新型赤外線センサー
・ハムシの水中歩行技術→泡を利用した水中接着技術
・ハスの葉(ロータス効果)とバラの花びら(ぺタル効果)→超撥水性薄膜
・ホタルの光→ATP測定キット
・アメーバの動き→自律分散制御システム
・長イモやモズクのねばねば→インフルエンザ無害化成分、がん細胞死滅成分
・カイコ冬虫夏草→ニューロン損傷部位修復効果
・老化しないハダカデバネズミの遺伝子→細胞分裂の速度がゆっくりで代謝も遅いことなどから健康につながる物質の発見
・イエバエのサナギの効果→養殖魚用飼料
・重イオンビーム照射による突然変異の誘発→塩分耐性のある植物への品種改良
・他
著者も、こうした最先端の研究には持続可能な形にどうつなげてゆくのか課題があることは認めているが、確かに本書に紹介されている技術には、なんとか実用段階にまでこぎつけたものと簡単な実証実験レベルにとどまるもの、もしかしたらそのレベルにさえまだ達していないように読めるものが混在しており、例えばガンに効くとか、長寿遺伝子に作用するというようなものは、果たして本当に我々の健康や長寿に貢献できる形になるのか現時点ではなんともいえない。また、採算性や大量生産性において明らかに問題があるものも散見されるのだが、あまりそのような点については書かれておらず、科学技術研究の見極めにおいて重要な客観的で批判的な視点もバランスよく盛り込むという点において、少々甘いところがあるように思われた。
一方、どこまで合っているかどうかはともかく、著者の意見としては、生存競争の中で生き残ってきた生物と市場競争の中で勝ち残ってきた技術には以下のような共通点があるとし、これらは今後の社会、特に科学技術のあり方において指針になるのではないかというのは、心に残った。
1.変えること、換わることの勇気を放棄したものは淘汰される