本を愛しすぎた男: 本泥棒と古書店探偵と愛書狂 の感想

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参照データ

タイトル本を愛しすぎた男: 本泥棒と古書店探偵と愛書狂
発売日販売日未定
製作者アリソン・フーヴァー・バートレット
販売元原書房
JANコード9784562049691
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 本・図書館 » 図書館情報学

購入者の感想

 サンフランシスコ在住のライターが、古書店から稀少本を詐取し続けた男に2年に渡ってインタビューしてまとめたルポルタージュです。

 カバーのそでの部分には「『本を愛しすぎた男』と、彼を追う古書店主にして熱血素人探偵のデッドヒート!」とありますが、それほど地沸き肉躍る高揚感を与える書には仕上がっていません。著者が取材に入った段階では、すでに本泥棒のジョン・ギルキーはお縄になっていますから、「デッドヒート」の渦中にいたわけではありません。

 確かにギルキーが語る詐欺の手口は興味深く、様々な古書店主がこうした手法に騙されていく過程を読むのは、犯罪ノンフィクションの醍醐味があり、その点だけをあげれば楽しい読書であったとはいえます。
 ですが、著者自身もいみじくも綴るように、この本は著者が古書詐取事件の中立的ナレーターとしての役割をいつの間にか越えてしまっています。ギルキーへの取材者としての姿が前面に出すぎていて、読んでいてとても煩わしい思いを抱きました。それは先述したように著者が、すでにギルキーが逮捕された後に密着取材しているがために、取材対象に情緒の面でも必要以上に接近しすぎているためでしょう。

 そもそもキルギーが稀覯本を手に入れたいと考えたのはなぜなのか? 
 彼自身の弁によれば、世の中から不公平・不当な扱いを受けたと感じたときにそのことへの仕返しとして本を盗むのです。誰もがほしがる稀少本をほかでもない自分が持つという事実を前に、彼は満ち足りた気分になるというのです。それが説得力をもって読者に迫ってくるかというと、納得のいく回答を得られたという実感は少なくとも私にはありません。

 また著者自身は長い取材の果てにこう綴ります。「こうしたひたむきな情熱は、決して満たされない欲望、あきらめきれない夢によく似ていて、それを達成しようと努力することで、無上の喜びを与えてくれるものなのだ」(240頁)。しかしこの著者の分析も私には牽強付会としか感じられませんでした。
 キルギーの盗癖は書名が指摘するような「本を愛しすぎた」がゆえの行為であるとは到底おもえず、読後感はなんとももやもやの残るものだったのです。

タイトル通りこの本は本を愛するあまり犯罪に手を染めた愛書狂の男・ジョン・ギルキーと
彼を執拗に追う古書店主でアメリカ古書籍組合(ABAA)の防犯対策室長に任命されたケン・サンダース
この二人の男が主人公の実話である。

著者のアリソン・フーヴァー・バートレットが彼らの物語を書こうと思ったのは
1冊の本がキッカケだった。
友人の弟から託された4百年前の稀少古書「薬草図鑑」
その本は彼の女友だちが引越しのドサクサに紛れてうっかり図書館に返却するのを忘れていたという。
しかし図書館に問い合わせてみても当図書館の蔵書ではないと言われその本をどうすればいいのか悩む。
そしてライターである彼女は本を愛するあまり稀こう本や稀少本を盗む愛書狂の本泥棒に興味を持つ。
本の蒐集家ではない彼女はなぜ彼らが本を盗むようになったのか取材を始める事にした。
まずは稀少古書ばかりを数百冊巧妙な手口で盗み続けた男・ギルキーに目を付けた。
それから彼を執拗に追いかける古書店主・サンダースにも。
彼女の壮絶な闘いの日々が幕を開けたー。

ギルキーは幼い頃から何かを蒐集する癖があった。
その内本に興味を持ち始め大人になってからはとりわけ稀少な価値のある稀少古書に興味を持ち始める。
しかし元々裕福な家庭ではないギルキーは高級古書店に行っても当然そこで本が買えるはずがない。
普通の人間なら何とかお金を貯めて買おうとするか最初から諦めるかのどちらかだと思うが
彼は見事なまでに自分勝手な発想で本を自分の所有物にする事を考える。
手口を書くと本書のネタバレになるのでここでは割愛するが
(訳者のあとがきにも本書を読んでのお楽しみとあるので)
実に巧妙な手口で彼は次々と狙いを付けた古書店から本を盗み出す。
ギルキーは一見紳士的でとても礼儀正しい。
そして欲しい本の為にはきちんとした職にも付く。
ここまで頭が働き行動力にも優れているならなぜ普通に働いて稼いだお金で古書を買わないのか不思議なくらいだ。

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