米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F) の感想

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参照データ

タイトル米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)
発売日販売日未定
製作者米原 万里
販売元集英社
JANコード9784087204063
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » や・ら・わ行の著者

購入者の感想

4つのテーマにもとづく講演。
1 愛の法則
2 国際化とグローバリゼーションのあいだ
3 理解と誤解のあいだ
4 通訳と翻訳の違い

ここまで、いっていいのかと思うほど
口が滑らかで 言いたい放題。
そのなかに 洞察力(インサイト)がきらきらと輝く。
さすが、米原万里。
その大胆さと下ネタの爽やかさは なんともいえない風情がある。

言語を理解するとは、記号と概念の間の変換プロセスを体験すること。

1 愛の法則
世界の名作は オトコ(ドンファン)がオンナあさりするものばかり。
そのオンナは 美人ばかりだ。
しかし、美人の基準は 時代と地域によって違う。
源氏物語にしろ、
一方 オンナの物語は 理想の男性を捜すものになっている。
沢山のオトコから 選び抜く物語。
メスは量をにないながら質を追求する。
オスは質をにないながら量を追求する。
結局 オトコは生き延びてつたえる サンプルなんだよ。

オトコには ①ぜひ寝てみたいオトコ②まぁ。寝てもいいのかなというオトコ
③たとえ大金をもらっても絶対寝たくないオトコ 
オトコの多くは 90%以上は ③ だとか。

オトコあまりの現象が 質の高い人間に進化する。
オトコが2600万人も余っている中国は まさに 進化の舞台かも。

2 国際化とグローバリゼーションのあいだ
「アメリカ人の言うグローバリゼーションは、自分たちの基準をおしつけることであり、日本人の思うグローバリゼーションは世界の基準に自分を合わせること。」
アメリカ人は 「自分たちは変わらない。自分たちは正当であり、正義であり、自分たちが憲法である。」と思っている。
すごい 本質的な定義。素晴らしい。
中華主義も アメリカ的発想に近いのだ。

陸続きであれば、こころの中にある国境が強くなる。

外国文化を絶対化する病気と自国と自国文化を絶対化する病気。

新書はタイトルで売る、らしいけれど、この本はタイトルで損をしているのではないかと案じています。
「米原万里」と聞いて通訳翻訳、異文化コミュニケーション、あるいは下々のジョークを期待する人ばかりでなく、
老若男女だれが読んでも、どこかで我が身に引きつけてものを考えることができるのに、
こんなタイトルではまじめな普通の読者に手を出してもらえないかもしれない・・・

中身は亡き米原万里さんの講演が4本、
「1.愛の法則」「2.国際化とグローバリゼーションの間」は高校生向けの講演(2005, 2004)、
「3.理解と誤解の間〜通訳の限界と可能性」は県の文化講演会(1998)、
「4.通訳と翻訳の違い」は新聞社主催の受賞記念講演(2002)で、
1など、うぶな高校生が聞いたらびっくり、先生方もどぎまぎの発言もあるけれど、
実は深い真理をおもしろくわかりやすく聞かせて、どこかで必ずためになる話ばかり。
講演録を安易に新書で売る最近の風潮には感心しないわたしですが、
これは例外的に読んでよかったと思いました。

通訳・翻訳を通して人間同士(ときには動物とも)のコミュニケーションを追求した米原さんは、
書いても一流なら、しゃべりも一流。一度ぐらいおはなしを直に拝聴したかった、と残念でなりません。

巻末に著作一覧もついているし、米原万里入門の一冊としてもおすすめできます。

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