(036)「空き家」が蝕む日本 (ポプラ新書) の感想

　書名から空き家問題について論じていると思うだろうが、そうではなく、時代にそぐわない住宅政策や客観性を
欠く住宅評価などの問題点を列挙している。それらを受けて、中古住宅市場の活性化を提案している。これは、
著者のビジネスに直結するものなので、自社宣伝と受け取れるが、内容自体には賛成する。借金をかかえてまで、
新築に住もうとする日本の傾向には、いささか疑問を抱いている。

　興味を引いたのは、不動産業界の、物件情報の囲い込みや賃貸はなぜ貧弱なのかという、業界の内情について。
これらに興味がある人は、手に取ってみるがよい。ただし、空き家問題に関心がある人にはお勧めしない。

「空き家」問題に関心があり、タイトルだけで購入したが、「空き家」問題の記述は少ないので、驚いた。
本書の内容は　「不動産投資はセブ島がオススメ」とか、つまらない不動産ウンチクばかり。

　本書の内容は具体的に言うと、前半は不動産仲介業界の悪徳な手口の紹介。
中盤は「空き家」問題だが、考察がチープすぎる。　空き家発生の理由は「不動産の大量供給」って誰でも分かるさ。

　後半は不動産投資の話。セブ島がオススメらしいが、日本に住む読者が海外不動産に投資する
リスクの話は一切ない。

　本書は「タイトルだけで読者を釣る」典型的な悪本！