天使のゲーム〈下〉 (集英社文庫) の感想
参照データ
タイトル | 天使のゲーム〈下〉 (集英社文庫) |
発売日 | 2012-07-20 |
製作者 | カルロス・ルイス サフォン |
販売元 | 集英社 |
JANコード | 9784087606478 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » スペイン文学 |
購入者の感想
1917年のバルセロナで、少年ダビッドは文筆の才能を買われて新聞社で短編小説を書き始める。やがて一人立ちした彼のもとへ、高額の報酬と引き替えに奇妙な本の執筆を依頼する人物アンドレアス・コレッリが現れる。途端にダビッドの人生は怪異な空気に包まれ始める。コレッリとは一体何者なのか…。
今から6年前(2006年)、カルロス・ルイス・サフォンの『風の影』(集英社文庫)に大変な感銘を受け、以来この作家の次回作が翻訳されるのを今か今かと待ち続けていました。ようやく今年日本で出版されたこの『天使のゲーム』はスペイン本国では2008年に出ていたものです。英訳版ペーパーバックで読もうかとも思ったこともありましたが、前作と同じく木村裕美氏の見事な日本語に移し替えられるのを待ったのは正解でした。
サフォンの次回作というだけで手にしたので、これが『風の影』と同じく“忘れられた本の墓場”のシリーズであったことに驚きと喜びを強く感じました。前作の主人公ダニエルが思わぬ形で登場してくるところも、ファン心理をくすぐる仕掛けとして大いに堪能しました。
ダビッドを慕う健気なイサベッラ。ダビッドが思いを募らせる美しきクリスティーナ。二人のヒロインの存在も物語に切ない彩りを加えます。
ただし、『風の影』とは趣が異なり、こちらはゴシック・ミステリーの様相を呈しています。ですから人智の及ばぬ、摩訶不思議な世界が展開していき、理屈の届かぬ形で物語は幕を閉じるのです。
上巻97頁でいみじくもダビッドが感じるように、「こんなひとつかみの紙のなかに、世界中の魔法と光があるように思え」る小説です。
訳者あとがきによればこのシリーズは全4部作になる予定で、第3作は2011年にスペインで発表済みだとか。こちらの翻訳を日本で読める日まで、さらに後4年くらいかかるのでしょうか。
今から6年前(2006年)、カルロス・ルイス・サフォンの『風の影』(集英社文庫)に大変な感銘を受け、以来この作家の次回作が翻訳されるのを今か今かと待ち続けていました。ようやく今年日本で出版されたこの『天使のゲーム』はスペイン本国では2008年に出ていたものです。英訳版ペーパーバックで読もうかとも思ったこともありましたが、前作と同じく木村裕美氏の見事な日本語に移し替えられるのを待ったのは正解でした。
サフォンの次回作というだけで手にしたので、これが『風の影』と同じく“忘れられた本の墓場”のシリーズであったことに驚きと喜びを強く感じました。前作の主人公ダニエルが思わぬ形で登場してくるところも、ファン心理をくすぐる仕掛けとして大いに堪能しました。
ダビッドを慕う健気なイサベッラ。ダビッドが思いを募らせる美しきクリスティーナ。二人のヒロインの存在も物語に切ない彩りを加えます。
ただし、『風の影』とは趣が異なり、こちらはゴシック・ミステリーの様相を呈しています。ですから人智の及ばぬ、摩訶不思議な世界が展開していき、理屈の届かぬ形で物語は幕を閉じるのです。
上巻97頁でいみじくもダビッドが感じるように、「こんなひとつかみの紙のなかに、世界中の魔法と光があるように思え」る小説です。
訳者あとがきによればこのシリーズは全4部作になる予定で、第3作は2011年にスペインで発表済みだとか。こちらの翻訳を日本で読める日まで、さらに後4年くらいかかるのでしょうか。