現代思想 2014年10月号 特集=大学崩壊 の感想

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参照データ

タイトル現代思想 2014年10月号 特集=大学崩壊
発売日2014-09-27
製作者國分功一郎
販売元青土社
JANコード9784791712861
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購入者の感想

『現代思想』はたしか10年以上前からこのテーマに取り組んでいる。1999年6月号は『大学改革』と銘打って、新自由主義的な大学改革を批判していた。そして今回もそのトーンは政治による「改革」への不快感で満ちている。99年は独立行政法人化への懸念が、今回はその更なる政治的介入が問題にされているといっていいだろう。

しかし、これだけの期間があり、これだけの紙面を費やして、ほとんど生産性というものが感じられないのには驚かされる。現代「思想」だから仕方がないと開き直られたら何も言えないが、大学には文学部と社会学部しかないような視野の狭さを感じさせる執筆者が多くを占めすぎている。数学も物理学も工学も海洋生物学も農学も、大学にはある。そうした目配りが全くない。ならば『人文学部崩壊』とでもした方が誠実だろう。実際には全学部が同じ危機を共有しているのだとしても、そうした配慮がなければ『大学崩壊』とするのは学問的に言っても不誠実でおこがましい。

なにより、大学の構成員の最大多数である学生に対する眼差しが完全に抜け落ちている。あったとしても債務者としての学生、といった視点ばかりで、今を生きる彼らの息吹にはまったく無頓着だ。そうした生気の無さが大学を掘り崩していることに気づいていない。

ただ追悼−木田元の財津理氏の文章は読みごたえがあった。木田元によってドゥルーズによる『差異と反復』の単独翻訳に導かれたことや、木田氏にとっての戦中・戦後の特異な捉え方など、いままで知り得なかったことが率直な文章で綴られている。この短い追悼文が、この1400円以上する雑誌をかろうじて救っていると、自分を納得させた。

補足
最近になって、「1.5流」以下の国公立大学の、ただし優良な(つまり必要とされている)人文系学部が来年度以降、国の指令(内閣の閣議決定)により本当に廃止されていくことを知った。これは大変なことだ。当該の学部に所属する教員は、なんと自らの墓掘り人を演じさせられているらしい。抵抗どころか、自分たちの学部を廃止するための事務手続きに追い回されているということだ。

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