New望月古典文法講義の実況中継 上 の感想

レビューによって評価が分かれていますが、基本的に0からでも、この本で学習できると思います。
学習できると言うのは、0から初めて、一通り読んだだけで分かるという事ではなく、分からない所は読み返したり、調べたりして、最終的に使い物になるか、という尺度で考えた場合です。少しでも文法をかじった人くらいが最適の読者かと思います。

いわゆる「講義系、実況系」の本です。本書はその傾向が特に強く、生徒と先生の対話の部分すらあります。
この本に限りませんが、文法事項がまとめられた、いわゆる基本書ではないので、見通しが悪いという欠点があります。
この本を終えた後、分からない箇所が出てきても、復習しづらいのです。

また、手にとって見れば分かりますが、この本は内容が非常に優れている反面、語り口は非常に個性的です。そのため、相性が合うかどうかで相当評価が変わると思います。関西弁やお笑いチックなノリを好まない人は、素直に別の書籍にしましょう。
おそらく、「これが分からない人は…」のような記述は、本当にそういっているわけではなくて、読者に危機感や向上心を煽り立てるための、一種の方便というか、冗談交じりなんだと思います。要するに、お尻を叩いているのであって、読者、受験生のことを考えているからこその発言だと、私は解釈しました。私としては、精神論のみの雑談よりは、こういうノリの方が好きですね。ともかく、一度中身を見てから買うことをおすすめします。

最後に構成について。
この上巻は、ほとんどのページが助動詞、助詞についての解説です。古文で一番重要な所ですから、まっとうな選択かと思います。下巻もこちらでレビューしますが、最初にその他の品詞や敬語を学び、後半は頻出の識別という流れです。
古文文法の本なので、単語などは別途勉強する必要があります。問題演習も、解説で吟味するために1，2問付いていると言うほどなので、問題集は必須でしょう。