人体デッサンのための 美術解剖学ノート: 骨と筋肉、これがわかれば絵は変わる! の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

この本は、美術解剖の基本的な筋肉骨格の知識を大まかに理解し、描写の男女差異を習得している者なら、
皮膚に筋骨の隆起や陰影がどう現れるのかを「検索」するような感覚で見る事が出来る良作だと思います。
これから筋肉骨格を理解勉強する方、男女の形質の差異を勉強する方は、
皮膚下の様子を解剖学的に見る事が出来る別の書籍を探される事をお勧めします。
初期の資料としては不足があります、これはあくまである程度でも筋骨を理解した上での資料です。
この書籍の人体表現は非常に見やすく描かれており、上記の条件を理解されました上での引用に非常に分かり易い描写です。
筋肉骨格描写に迷った時の参考書として非常に助かります。
紙面のレイアウトは若干難ありかも知れません。
全てのページがそうではありませんが、
主要なページでは見開き左右のページの両端各半分ずつに解説と骨格に筋肉がどう着いているかを描いており、
見開き中央部に左右ページの半分づつ、もしくは右ページは全面に実際の描画がなされております。
ビジュアルに重きを置くか、それとも解説を重視するか、人によってまちまちでしょうが、
私的には美術解剖の本なのだから、描写に重きを置いて欲しかったと思う。
ですが、人物描画に迷った時の参考書として十分に機能を発揮されている一冊です。
絵画から漫画など広く参考に出来る書籍ではないでしょうか。

注意！）
本書には女性の描写がありません。
顔で僅か数点あるのみで、全ては男性の筋骨の描写に終始しております。
筋肉のあり様や動きに応じた形状の変化は男性の方が状態が顕著に現れますので、
筋肉を理解するなら男性のみの描写でよいのでしょう。
ある程度の筋骨の男女差を理解された上で、参考書として使うものだと割り切った使い方ならば男性の描写だけでも事足ります。
総合的なものを期待する方にはお勧めできません。
ですから前述しました様に、基礎的知識を得た上で男女描写の差異の理解も進んだ方への参考書的な書籍と思われた方が良いでしょう。

デッサンの本で真ん中に絵が来る事は稀だと思いますが、この本は8割もしくは9割ほど真ん中に寄って切れたり見にくくなっています。
内容自体はいいのですが、その内容が見にくい為余計にイライラします。
こういった本は模写目的で買っているので、模写しにくい所が難点でした。
もしちゃんとした装丁であれば、★５つだったかもしれません。それほど装丁が悪かったです。
マール社の本は好きで買っていただけに残念でした。