ギターが自由に弾ける「メジャー・スケール」の本(CD付) (リットーミュージック・ムック) の感想

ファンの方に限らず、我流でプレイしてきた人には基本もふまえてとても勉強になる本だと思います。

まずトモ藤田さんの教則は「１から１０まで手取り足取り教えてもらいたい人」のためのものではありません。
答えはここには書いてありません。
すぐに結果が欲しい人には向きません。
そういうのを求めてる方にはもっとフレーズ集的な内容の教則をお勧めします。
そういうものの方が直近の満足度は高いです。わたしにも分かります（笑）。

ではトモ藤田さんの教則はどのような人のためのものか。
自分の中におぼろげながらも音楽を持っており、それを表現するための考え方、方法論を求めている人のためのものだと思います。
目的と手段で言えば、手段が書いてあるのです。
目的はあなたの中になくてはならないのです。
「これはこういう風に使うのか！」と気付ける人でないと、「何これ？これしか書いてないの？全然使えないじゃん」と
なると思います。
貪欲に、前のめりに、自分の中の音楽と照らし合わせて自分で気付かなければならないのです。
「気付く」ということはあなた自身にしかできないからです。
ポンと「これだよ」と与えてくれたりはしません。
そう言う意味では非常に厳しい姿勢の教則です。
初心者には全く向かない類いの楽しくない教則だと思います。

ですがトモ藤田さんの教則には考え方や手段の手がかりが載っています。
つまりこれから一生ものになる「あなたの方法論」「あなたの気付き」のとっかかりが書いてあるのです。
いつの日かオリジナル曲のアレンジを考えている時に、ファンクバンドで弾くソロに悩んでいる時に、
「あ！あの本に書いてあったことは、これか！」と気付く時が来るかもしれません。
その時のための教則本なのです。
かなり長いスパンで自分の音楽と向き合うための教則ですので音楽に対する本気度も問われます。
出てる符例が弾けるとか、弾けないとかそういうことは上辺のことで、自分の中の音楽にどう生かせるかなのです。
重要なヒントは書いてありますが、この本だけで何らかの到達点に辿り着けるわけではありません。
あなたの中の音楽と組み合わさった時に効果が出るのです。