Political Order and Political Decay: From the Industrial Revolution to the Globalization of Democracy の感想
参照データ
タイトル | Political Order and Political Decay: From the Industrial Revolution to the Globalization of Democracy |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | Francis Fukuyama |
販売元 | Farrar Straus & Giroux (T) |
JANコード | 9780374227357 |
カテゴリ | » 洋書 » Special Features » all foreign books |
購入者の感想
現代の古典「政治の起源」待望の続編。500ページ超を退屈なく読めました。フランス革命から現代までの各国(各地域)の政治システムがいかに発展してきたかを、豊富なデータと引用、そして驚くべき洞察で描出します。「政治の起源」ほどの衝撃はないかもしれませんが、それでも首を長くして待った甲斐がありました。この本(シリーズ)は退屈な政治学の本ではなく、歴史や文明論に近い(ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」のような)内容です。もっと広く一般読者に読まれるべきだと思います。欧米はもちろん、ラテンアメリカやアフリカ諸国の政治システムの発展経路が興味深く描かれており、ほとんど毎ページに目からウロコが落ちるような洞察が含まれています。そして締めくくりで合衆国の政治システムの機能不全に言及しています。明治日本への言及もあり、日本人読者も興味深く読めるでしょう(イタリア南部など、各国の問題点を日本になぞらえて読むこともでき、どきっとするポイントが数多くあります)。フクヤマの議論は「歴史の終わり」から一貫していて、ここでもその信念(すべての政治システムは最終的にリベラル民主主義に収斂していく)は健在です。それに同意するかどうかはともかく、彼がこの本で達成した内容についてケチを付けられる人はそう多くないでしょう。読むべきかどうかと問われれば、間違いなく読むべきと答えます。ちなみに、フクヤマの英語はたいへん平易なので、英語が理解できる方はわざわざ翻訳を待つ必要はないと思います。