Category Theory (Oxford Logic Guides) の感想

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タイトルCategory Theory (Oxford Logic Guides)
発売日販売日未定
製作者Steve Awodey
販売元Oxford Univ Pr (Txt)
JANコード9780199237180
カテゴリ » 洋書 » By Publisher » Oxford University Press

購入者の感想

スティーヴ・アウディの講演は何度か聞いたことがあり、明快でわかりやすいので感心した。そこで、懸案の圏論の独習のため、この教科書、第2版を買って、全体の筋をざっと確認(それができるように、各章の冒頭に短い要約があって行き届いている)、最初の2章ほどを読んでみた。第1章を読んだだけで全体の質が予想できるような、明快でわかりやすい記述である。特筆すべき事は、抽象的な定義だけで済ませるのではなく、すぐに続けて、読者がある程度知っていそうな数学や論理学などの分野から、その定義に当てはまる実例がいくつも紹介されて、定義の意味がつかみやすいように親切な工夫がされていること。

また、圏論(カテゴリー理論)とは一体何を目指しているのか、という本質的な問いにも、実にわかりやすい、しかも手短な言明がズバリと付け加えられており、「あ、なるほど」と感心させる。圏論とは、"structure-preserving transformation" を特徴づけ、その条件を満たすような構造を明らかにするもの。"Transformation"とはあるものを別のものに移し替える函数 function といってもよい。函数、関係が主役で、関係づけられる対象は何でもいいのだ。そのため、一般の理論のように「しかじかの対象がどのように振る舞うか」を解明するもの、と見当をつけると、圏論のポイントを誤解してしまう。哲学系では「カテゴリー」というとカント的な分類概念を連想してしまいがちだが、そうではなく「関係づける函数、関係そのもの」が主役となるのである。10章に渡る記述にも、大きな筋書きがあって、9,10章の山場に向かう様子が最初に予告されている。読み進むのが楽しみである。なお、本書には邦訳もあるが、英語が苦手でない限り、できるだけ、わかりやすい英語で書かれた原書を読むことをおすすめする。日本語訳がまずければ、読む楽しみも半減してしまうという危惧がある!

非常に丁寧に書かれており、著者の意図する読者層(非数学専攻者)に対して、十分な内容および思考法の教授に成功しているように見受けられた。
終わり3章の証明部分はやや急ぎ足の感があり、説明が簡素すぎるが、それもそれでいい思考訓練になったように思われる。
マックレーンの『圏論の基礎』と比べると、レベルは同程度であるが、数学の例を引き合いに出して概念を説明しようとする傾いの強いその本と比べ、本書はそのような制約をまったく設けていない。つまり、圏論の基本事項をマックレーンの本のレベルまで理解するには、この本でも足りる。もし、この本の抽象度に抵抗を覚えるようなら、H.Simmonsの「Introduction to Categoru Theory」(Cambridge University Press)を勧める。

Mac Lane本では高度すぎるという方向け。著者が最初に考えていたタイトルは「Categories for Everyone」だったらしいですが、その言葉通り幅広い分野で応用することを念頭に書かれていて、代数、トポロジー、型理論、論理学などへの応用例が豊富です。Lawvere本でも少し圏論の勉強はしていたのですが、この本を読んで、圏論の応用範囲の広さと、様々な分野を結びつける能力に驚きました。余代数の話題があったりすると個人的にはもっと嬉しかったのですが。

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