Aids to the Examination of the Peripheral Nervous System, 5e の感想

1943年に初版が発行されて、70年以上にわたり愛読されてきた名著の最新改訂版。
末梢神経関連の図譜であり、大きさはipad 2　とほぼ同じ大きさで、ページは６４ページの小冊子。

末梢神経について外来で検査するときの参照とするべき神経支配の図譜と実際の臨床テストの手技の写真を簡潔なレジェンドとともに記載している。

ただし、小冊子だからといってバカにすることなかれ、例えば正中神経で、carpal tunnel とforearmの病変の違いで、
手に出現する感覚障害の範囲がどう変化するかとか、やはり尺骨神経で、その走行中の様々な部位の障害により手に表出する感覚障害の範囲がどう変化するかとか、
少なくとも私が今回神経内科と解剖についての再学習に用いて読み込んできた２０冊ほどの本のどこにも十分に記載されていない情報が、
さらりと示されていて、鋭い本である。

また各神経について皮神経と筋肉の支配がまとめて記載されている図が工夫されており、それぞれの末梢神経について感覚神経の障害による感覚障害の範囲、その運動神経の支配する代表的な筋肉の機能評価のテスト方法がまとめて記載されておりとてもわかりやすく実用的だと感じた。

折角、神経の事を学習してきたので、この小冊子に記載されている知識は完璧にマスターし、外来で必要に応じてさっと技術を駆使できるようにしたいと思う。

軽い本なので、外来に携帯できて便利。

PS:上肢、下肢の筋肉や神経支配を学習しようと思う場合は、他のどんな本を読むより、AnatomyZoneのsite等のyoutube を参照にするのがいい。系統だって短時間で筋肉の機能やその神経支配を、最初３次元で次に２次元的に教えて、暗記の仕方まで教えてくれる。
また、ある神経の障害で出現する症状と、臨床診断テストついて等の、整形外科的な側面に注目した知識は、DR.nabil ebraheimのyoutube siteを参照にするのがいい。
短時間で驚くほど多くの情報が系統だって頭の中に入り、本にのみ頼り切った学習が前近代的なものになった事を実感すると思う。