The Curious Case of Benjamin Button の感想

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参照データ

タイトルThe Curious Case of Benjamin Button
発売日販売日未定
製作者F. Scott Fitzgerald
販売元www.bnpublishing.com
JANコード9781607960713
カテゴリ » 洋書 » Special Features » all foreign books

購入者の感想

老人の姿で生まれ、若返って最後は赤ん坊として死ぬ男の物語が、僅か52頁の小冊子とは驚きだが、ボリュームがクオリティーを左右する訳ではないから、若さを先に失うか後から失うかという大人向けの寓話として面白く読んだ。家庭ドラマに大人びた子供の存在は不可欠と言えるが、本書の主人公は祖父に瓜二つの皺くちゃ老人にしか見えず、隠れて葉巻まで吸うのだからその範疇を超えている。

家で子供を生むのが当たり前だった19世紀中頃、主人公ベンジャミンが麻酔薬の匂う「病院」で生まれたのは両親が進歩的だったからだという冒頭の記述が特に興味深い。医療制度の発展が少なくとも家族の一員として主人公が無事に引き取られることを後押ししたと判るからだ。もし家で出産したのなら、衝撃が強すぎて何か災いが起きたのではあるまいか。現に映画では父親が醜悪なわが子を捨ててしまう筋立てだと聞く。

著者フイッツジェラルドが生きた時代の父系重視の社会構造が反映されたのか、健在する母親が会話に登場しないのが奇妙に思える。小説とはいえ母親の戸惑いや拒絶反応を描き切れなかったのか、乳母が面倒を見る当時の習慣で母親の姿を不要と考えたのか。

父親の母校イェールで新入生登録係から疑われ、在校生に罵詈雑言を浴びせられて追い返される悲劇に見舞われたベンジャミンに、やがて<青春のときめき>が訪れる。地元ボルティモアでの仮装舞踏会で運命の女性ヒルデガードに出会ったのだ。
「細身で可憐な娘。その髪は月の光に蒼ざめ、ポーチで爆ぜるガス燈の灯を受けるとハチミツ色に輝いて見えた。黒い蝶柄の柔らかそうな黄色いスペイン製スカーフがその娘の肩口まで覆い、その足先にはスカートの縁飾りのボタンが煌いていた。」

父親をベンジャミンの兄弟だと勘違いしているヒルデガードは「年配の男性の方が好ましいですわ。大学でどれだけシャンパンを飲んだとか、やれカードの賭け事で大金を摩ったとかを得意気に話す若い人は阿呆だとしか思えませんもの。」と語る率直な娘だった。イェールでの苦い屈辱の経験から彼女の誤解を解くのをベンジャミンは躊躇った。

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