Tender is the Night ( Illustrated and Annotated ) の感想
参照データ
タイトル | Tender is the Night ( Illustrated and Annotated ) |
発売日 | 2013-12-20 |
製作者 | F. Scott Fitzgerald |
販売元 | Just for Today Publishing |
JANコード | 登録されていません |
カテゴリ | Literature & Fiction » Authors, A-Z » ( F ) » Fitzgerald, F. Scott |
購入者の感想
フィッツジェラルドの作品に一貫して流れるテーマは、下層階級を出自としながら上流社会へと立身出世した青年と、その「引っ越した」先にもともといた育ちの良い「高値の花」とのロマンスをモチーフに、華々しく黎明の瞬間を迎えたアメリカ大衆消費社会における光りと影を描くというもの。本作品もその筋は保持しながらも、ロスト・ジェネレーションさしく舞台をヨーロッパに据え、気鋭の精神科医とその患者とのロマンス、そういう道ならぬ関係ゆえに生じる亀裂、そして「失われた」世代特有の「堕落」が正に作品の名の通り夜気を帯びた雰囲気のなかどこか優しさのフレーバーを伴って徒然と展開していく文体、そしてギャッツビーより遥かに日本人好みのつまり余韻をともなうラストに、出色さを認めざるを得ない。