Where Is the Mango Princess?: A Journey Back From Brain Injury の感想

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参照データ

タイトルWhere Is the Mango Princess?: A Journey Back From Brain Injury
発売日2012-02-22
製作者Cathy Crimmins
販売元Vintage
JANコード登録されていません
カテゴリ洋書 » Subjects » Biographies & Memoirs » Memoirs

購入者の感想

なぜ人は、普通とちょっと違う風貌の人や、ちょっと違う性格の人を差別してしまうのか?それは、多分、そういう人たちを理解できないから。そして理解できないから、そういう普通とはちょっと違う人に居心地の悪さを感じるようになる。その居心地の悪さが最終的には無視、いじめまたは偏見に繋がっていく。
この本は、ある日突然、モーターボートの事故でひどい脳挫傷を負った夫が、その後1年間かけて健康を回復していく姿を、その妻がつづった物語だ。
重度の脳挫傷になると、脳挫傷を負う前と後でその人が別人のように変わってしまうことがある。この物語の主人公、アランもその一人だった。しかし、妻の協力や、友人達の励ましによって徐々に事故前の普通のアランを取り戻していく。
アランの妻クリメンスは、この夫の脳挫傷をきっかけにして、当然、脳に損傷をうけることはどういうことか、という事実を目の当たりにする。そして、自分達は決して足を踏み入れることはないだろうと無視していた「あっちの世界」にどっぷり浸かってしまったことを知る。あっちの世界とはすなわち「普通ではない世界」だ。
この事件を通じて、脳挫傷の夫を持つ妻クリミンスは、脳挫傷の世界、すなわち重度の障害を持ってしまった人たちの世界がどういう世界かということを知る。そして、その世界で生きることの困難さを知る。
結局、人は、見たり聞いたりしただけでは、「自分がいる世界」の外の世界がどんなものかは分からないのかもしれない。しかし、そういう世界の人々の話を聞いたり、本を読んだりすることで、そういう世界がどんな世界なのかを想像することが出来る。そうすることで、「自分がいる世界」とその外の世界に境界線など、実は、ないということに気付くことができる。
この本も、そういう、「自分がいる世界」と「あっちの世界」の間に、自分が知らず知らずのうちに引いていた境界線が、実は幻であるということを気付かせてくれる。
そういうことに気づいた時、人は、普通とちょっと違うからといって差別したりするようなことはなくなると思う。そして、そう気づいた時、人はだれもが住みよい社会を作ろうと努力するのだろうと思う。
そんな当たり前のことを気付かせてくれる一冊だ。

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Vintageから発売されたCathy CrimminsのWhere Is the Mango Princess?: A Journey Back From Brain Injury(JAN:登録されていません)の感想と評価
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